AI潅水施肥システムのゼロアグリ、Kubota Incubation Farmのトマト養液栽培スマート実証に参画
ルートレック・ネットワークスは12日、オープンイノベーションを活用したクボタの実証農場「Kubota Incubation Farm」におけるハウス栽培のスマート化の取り組みに参加しており、昨年のアスパラガス栽培のスマート化実証に続き、トマト栽培のスマート化実証にも「養液栽培の排液量の最小化と再利用」をテーマに参画することを発表した。
本取り組みは2021年7月に、クボタ、inaho、オプティム、ルートレック・ネットワークス、レグミン、関東甲信クボタの6社で開始した、ハウス栽培のスマート化に向けた実証実験。参画企業各社が保有するロボットやAI等を活用した自動化ソリューションを持ち寄ることで、潅水(水やり)、施肥、防除(病害虫の予防・駆除)、収穫といった各栽培工程で収集するデータを相互利活用できる実証環境を構築し、新たなソリューションの開発を目指している。
ハウスでのトマト栽培は、半年以上に亘って収穫期が続くため、生育を良い状態に保ち続けることが大切。このため、状況に応じたきめ細かい水・肥料やり、防除などの管理作業を行う必要があるが、その多くは農家の知識と経験、そして手作業に依存している。今回のスマート化実証においては、パートナー企業が持ち寄る先端技術を活用し、トマト栽培のスマート化ソリューションを開発する。また、農家の軽労化や栽培の最適化に加え、農業における環境負荷低減などにも取り組んでいくという。
ゼロアグリは、AIを用いた潅水施肥の自動化を行い、作物に必要な最小限の水と肥料の供給を行うことが可能。この機能により、農家の軽労化や栽培の最適化による農業経営の改善に加えて環境負荷低減(減肥による温室効果ガスの低減)にも貢献する。
今回のスマート化実証において、ゼロアグリはトマトの隔離培地による養液栽培における「排液量の最少化と再利用」の栽培モデルの実証を主に行っていく。
養液栽培は、水管理の均一性と土壌病害の軽減が可能となる一方で、培土中で保水しきれず発生する余剰排液(トマトの場合は潅水量に対して平均20~30%)分の資材消耗と、排液放流による水質汚濁などの環境破壊の問題が顕在化している。この余剰排液率の最少化とそれに対応した潅水・排液管理方法の確立を目指し、高騰する肥料コストの抑制、及び発生した余剰排液の再利用による環境負荷軽減に取り組んでいく。