OKIは15日、ロンコ・ジャパンの協力を得て、物流分野におけるルート配送の効率化に対するOKIのAI技術の有効性を、実証実験により確認したと発表した。
ロンコ・ジャパンが推進するルート配送計画の自動化とコスト最小化の取り組みの一環として、OKIが開発した「コスト最小型ルート配送最適アルゴリズム」により配送計画の最適解を算出した結果、車輌13台の配送総走行距離を、人手で策定した配送計画より1日当たりで約300km削減し、コスト最小化への有効性を確認している。この取り組みは、コロナ禍において物流のひっ迫が社会課題となる中で、AIによるDXでその緩和に資するものであるとともに、配送に伴うCO2排出量の削減にも貢献することが期待されるという。
OKIはAIを用いた最適化技術により、配送計画(配送先と順番、車輛への荷物積載の内訳)に基づく配送総走行距離を最小化する解を自動で導出する「コスト最小型ルート配送最適アルゴリズム」を開発した。これまでも、車輛の配送ルートを最適化するサービスはあったたが、複数車輌で荷物を分割配送するような複雑なケースでは人手に頼らざるを得ず、計画のできにも優劣が生じていた。
本アルゴリズムは、1拠点に1台で一括配送するケースから複数車輌で荷物を分割して配送するケースまで、多様な配送パターンの条件を自動で分析しながら、走行距離・コストが最小となる最適解を算出できることが特長。
2021年2月に行った実証実験では、ロンコ・ジャパンの実際の配送案件において、配送要件の確定から配送開始までの限られた時間内で配送計画を策定し、本アルゴリズムによる計画に基づいた車輌13台の配送総走行距離が、配送計画の策定に熟達した人手による算出結果よりも1日当たり約300km少ないことが確認できたという。
さらに、アルゴリズムの策定した計画に則って実際に配送を行い、選定したルートで走行上の問題がないことも確認。コロナ禍において、物流の需要は急増し、物流コストも増加傾向にある。OKIが開発した「コスト最小型ルート配送最適アルゴリズム」を適用することで、今回の1日13台のケースで試算すると燃料代は年間約360万円のコスト削減が可能となる。また走行距離の最適化および短縮により、年間約440kgのCO2排出量削減が可能となるという。
今回の実証実験において、ロンコ・ジャパンからは「ルート配送計画の課題であった“配送計画の属人的なスキルや経験、策定時間、コスト精度”の解決策として本アルゴリズムが有効である」とのコメントとともに、本アルゴリズムを実装したルート配送計画自動化の早期実用化につながる貴重な意見を提供された。今後同社は本実証実験の結果をさらに分析して、本アルゴリズムを実装したルート配送計画自動化の2021年度中の実用化を目指すという。また、こうしたAI技術を物流分野のみならず、最適化を必要とする多様な分野に広げていくとしている。