GMOインターネットグループで、インターネットリサーチ事業を展開する GMOリサーチは16日、自社が保有するパネルネットワーク「Global Panel」のうち日本と米国のモニター合計2095名を対象に、「生成AIの利用実態・意識に関する調査」を実施、結果を公表した。本調査は、日米の比較を通じて生成AIの利用に関する洞察を提供し、意識を高め、活用を促進することを目的に実施したもの。
人口知能(AI)技術についてどのように感じているかたずねたところ、生成AIを認知している人で、人工知能に肯定的な人(Top 2 Box)は、日本20.9%、米国24.2%と両国間で大きな隔たりはなかった。一方で、否定的な人(Bottom 2 Box)は、日本では3.7%とごく少数のところ、米国では13.4%と日本と比べて否定的な意見が多く、米国での意識がやや両極化していることがわかった。(図1)
また、生成AIを認知している人のうち、業務利用や個人的な利用などで既に利用経験のある人は、日本18.7%、米国29.5%と、やや米国の方が生成AIの活用が進んでいることがわかった。(図2)
米国における肯定・否定の意識の両極化の背景は、生成AIの利用および理解が進んでいるため、はっきりとした意識を抱いている人が多いと推測することができる。
さらに生成AIを認知している人へ生成AIの業務利用経験についてたずねたところ、利用経験があると答えた人は日本で10.7%、米国で29.5%と差のある結果となった。そこで、業務利用未経験者に、利用していない理由を尋ねたところ、日米ともに、40%弱の人が「生成AIの利用方法がわからないから」と回答した。また、米国では日本より、「社内/部内でのコミュニケーションが不足するから」や、「生成AIの安全性/品質に問題があると思うから」を利用していない理由として挙げる人が多く、一方、日本では米国より「利用に費用が掛かるから」を理由として回答する人が多い結果となった。(図3)
勤務する会社への生成AIの影響についてたずねたところ、日米ともに、「脅威」よりも「チャンス」と捉えている人が圧倒的に多い回答となった。但し、「チャンス」と考える人は、「大きなチャンスである」「チャンスである」と回答する日本の32.8%に対して、米国では63.2%となっており、米国では日本の約2倍という結果となった。(図4)
また、「チャンス」と考える人に、自社の生成AIの活用姿勢をたずねたところ、日本では60.8%、米国では69.8%の人が積極的だと認識している一方、「脅威」だと感じる人は、日米ともに、半数近くの人が消極的だと認識していることがわかった。(図5)
このような結果から、生成AIの影響が「チャンス」と考える回答と、勤務する会社の活用姿勢が「積極的」という回答は、正の相関関係がみてとれた。
さらに、生成AIの業務利用経験の有無別にみると、業務利用経験者は未経験者と比較して、自社への生成AIの影響について「チャンス」だと認識する人の割合は、日本56ポイント、米国36ポイントと増加している。(図6)
実際に業務で利用することにより、具体的な活用イメージが湧き、生成AIにポジティブな可能性を感じるのではないかと推測することができる。
生成AIの利用状況についての日本と米国の比較から、両国にその利用経験の大きな差は見られなかった。しかしながら、業務利用については米国の方が日本より進んでおり、会社に与える影響についてもポジティブに捉えていることが伺えた。一方、日本ではまだ積極的な姿勢や利用実態が限定的であることが示唆された。
調査概要
・調査テーマ:生成AIの利用実態・意識に関する調査
・調査地域 :日本・米国
・回答者数 :日本1047名、米国1048名
・調査対象 :生成AIについて認知している20歳~69歳の正社員
・調査期間 :2023年8月9日~8月18日
・調査方法 :オンライン調査