オープンハウスグループは11日、IoT、AIなどのデジタル技術を活用して企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するアジアクエストと共に、生成AIを同社の事業に活用するための実証実験を開始したと発表した。
昨今、学習したデータを元に画像、文章など様々なものを作成する人工知能「生成AI」が目覚ましい発達を遂げ、ビジネス、研究など、幅広い分野で活用が進んでいる。同社は、「『お客さまが求める住まい』を愚直に追求し続けます。」という企業理念に沿い、生成AIを活用してDXと業務効率化を更に進め、これまで以上に顧客ニーズにあった商品を提案するため、本実証実験に着手したという。
本実証実験では下記のようなプロジェクトへの生成AIの活用を検討していく。
・住まいへのこだわり、間取り、広さ、予算などの希望を顧客から音声またはテキストで聞き、推奨物件を自動生成する物件提案サービス
・購入検討段階での設計図や物件パース、購入契約段階での重要事項説明書や契約書などの作成をアシスト
・入居後の顧客からのアプリ、WEBブラウザページ、電話等を通じた問い合わせを、同社の子会社、おうちリンクが聞き、自動回答を行う仮想オンラインコンシェルジュサービス
・同社のメタバース事業戦略子会社、モンドリアンが顧客の要望に応じたアバターを自動生成
同社は、土地の仕入れから建築、販売まで製販一体の体制を整え、「足で稼ぐ」営業や土地を有効に活用する企画力・設計力を強みとしている。これを支えるため、数百のシステムやアプリケーションを自社開発し、データ活用をはじめとしたDX推進やAIの活用を積極的に進めており、「紙中心の商習慣」が重視されてきた不動産業界において、率先してデジタル化を進め、業務効率の改善の事例を積み上げてきた。
本実証実験では、米国マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」の複数種類の生成AIが利用可能な「Azure OpenAI Service」を使用し、生成AIによるファインチューニングを重ね、同社の業務課題に対する改善策を検証することで、顧客へのサービス向上案を検討していく。
アジアクエストは技術アドバイザーとして、同社がAzure OpenAI Serviceを用いて業務課題の解決策を検討し、活用法を探る過程で、同社をサポートし、定期的なディスカッションを通じて生成AIの本格的な活用に向けて、共同で本実証実験を進める。
人間の想像を超えたものを創り出す生成AIの秘められた可能性に鑑みると、業務への活用領域は本実証実験の範囲に限られないという。一方で、情報の信憑性、権利侵害などの課題も指摘されている。同社は、法令を遵守し企業倫理に則って、生成AIの可能性を追求し、住まいに関して革新的、先進的なサービスを提供できるよう、努力していくとしている。