企業教育研究会、学校教育における「生成AIの活用」テーマのイベント16日開催
学校・企業・大学とを結び、誰もが教育に関わり、貢献することができる社会をめざす 企業教育研究会(ACE)」は、設立20周年を記念して産官学が一堂に会する7回連続のトークセッションを開催している。
最終回となるSESSION7は 学校教育における「生成AIの活用」をテーマに、12月16日千葉大学で開催する。
文部科学省初等中等教育局から、学校デジタル化プロジェクトチームサブリーダーを務め、学びの先端技術活用推進室専門官、GIGA StuDX推進チームマネージャーの酒井啓至氏、日本アイ・ビー・エムで、AIシステムの開発・提案・構築・保守・PM(プロジェクトマネージャー)を担当する大矢裕己氏、文部科学省「情報モラル教育推進事業」検討委員会副座長、同省「学校DX戦略アドバイザー」として教育におけるデジタル活用に造詣が深い静岡大学教育学部 学校教育講座 塩田真吾准教授、コーディネーターは千葉大学教育学部長 藤川大祐教授が務める。
学校教育における生成AI活用事例について、10月に行った千葉大学教育学部 藤川教授による調査では、追跡可能な媒体による活用事例は、授業での活用、校務での活用合わせても35件に留まり、その後、著しい事例件数の増加傾向も見られないとしている。
ガイドラインで指摘されるような、「使用する児童生徒の発達を十分考慮する」「生成AIの活用が資質や能力を阻害しないか、活用が効果的な場面かを見極め判断する」等の記載内容について、先進事例も少ない中、具体的に何を考慮し活用の可否について判断を下すのか、委ねられる教育現場には不安や混乱があるのではないか。
また、生成AIの使用は、いくつかのサービスが展開されているものの、学齢期の使用については、年齢制限により13歳以上、もしくは保護者の同意が必要とされている。このこともあり、社会への急速な普及と比較すると、学校教育において生成AIは活用が進んでいない状況だという。
このように現時点では子どもたちが生成AIを活用するには制約があるが、その活用が進めば、より良い学びに結びつくことは疑いない。子どもたちがアイデアを出したりする途中段階で、足りない視点を見つけ議論を深める、英会話の相手として使うこと等、今後、容易に利用できるようになれば活用が相当進むという。
一方で、教員には生成AIの活用に制約はない。生成AIは教員の業務を軽減する有力な手段。基本的な条件を与えることで、保護者向けや児童生徒向けの文章を、簡単かつ迅速に生成することが可能。外国人の児童生徒やその保護者へ向け、各々の言語に合わせ翻訳することもできるし、テスト問題の作成において算数の計算問題などは即座に問題を作成する。
本研究会では、将来を見据え、もはや避けることはできない生成AI活用について、どうすればより子どもたちの教育活動を充実させられるのか、校務での活用も含め学校教育がどう対応すべきかについてディスカッションする。
開催概要
イベント名称:「企業教育研究会20周年記念イベント SESSION7 #生成AIの活用」
開催日時:2023年12月16日(土)14:00~17:00
開催場所:千葉大学 教育学部(千葉市稲毛区弥生町1-33)