県立広島大学は7日、同学庄原キャンパス(庄原市七塚町)の三苫好治教授(環境リスク制御学)の研究「搾乳ロボット併用『ハイブリッド酪農』による労働力不足の解消と労働生産性の向上に向けた実証」が、新たに2020年度の農業・食品産業技術総合研究機構(農研)による、「労働力不足の解消に向けたスマート農業実証」の助成対象に採択されたと発表した。
搾乳は、酪農家が早朝と夕方の1日2回、取り組まなければならない、拘束時間の長い重労働。負担を軽減するための搾乳ロボットシステムは、乳牛の体調管理もしつつ、搾乳を全自動で行う最新ICT施設で、大規模農家を中心に導入が進んでいる。
ただ搾乳ロボットに馴染めない乳牛(乳頭の形状などが原因)もあり、そうした乳牛には従来型の、ミルキングパーラーが使われている。ただ手作業が中心で酪農家の負担が大きく、生乳の生産効率が良くないといった理由で処分されることもあるという。
今回の実証実験は、中規模農家で搾乳ロボットとミルキングパーラーを効率よく組み合わせた「ハイブリッド型」を採用する新しい取り組み。中規模農家では、新型コロナウイルス等の影響により、労働力として期待が大きかった外国人労働者を新たに雇用できない状況にあり、人材不足から負担が増している。
本研究では乳牛の出産と、その直後に量が増える生乳の生産サイクルにあわせた「ハイブリッド型」を活用することで、労働生産性の向上と酪農家の省力化、人材不足解消を目指す。また、搾乳ロボットとミルキングパーラーにICT機器を接続し、牛の体調管理にも役立てるという。