岡山大学は19日、患者個々人のデータを入力することで最適な投薬推奨例がわかりやすく表示されるAI投薬支援システムを医師らが開発したと発表した。
近年、医療におけるAIの活用が進んでいるが、投薬支援での活用はあまり進んでいない。その理由としてわが国ではビッグデータが集めにくく、また実臨床データにはノイズが多いため、機械学習が困難であるという問題点があったという。
今回、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医学系)病理学(免疫病理)分野の大原利章助教は、東北大学材料科学高等研究所の杉谷宜紀助教、水藤寛教授とともに、臨床データの適切な選択と補完により効率的な学習を可能とし、専門医の思考に基づいた投薬の判断を再現する事が可能になるシステムを開発した。
このシステムを腎性貧血に対する赤血球造血刺激因子製剤(ESA製剤)と鉄剤投与の問題に応用し、重井医学研究所附属病院(岡山市南区)の池田弘部長(当時)、櫻間教文部長、岡山大学病院血液浄化療法部の木野村賢講師、小林内科(岡山市北区)の原口総一郎院長と共同で「AI投薬支援システム(AISACS)」を開発した。ESA製剤、鉄剤共に90%以上の割合で臨床的に正しい投薬判断を出力可能である事を明らかにした。
今回の研究成果の詳細については2月22日、豪州の医科学誌である「International Journal of Medical Sciences」に掲載された。
今後はAI投薬支援システムの基本技術として、さまざまな投薬に応用される事が期待されるという。