大阪府立病院機構 大阪精神医療センターとAIロボットベンチャーのハタプロは5日、「認知症患者の認知機能改善に有効な新規タスクの研究開発」を共同でおこなっていると発表した。
今回、研究の一環として「AI ロボットを用いた新しい認知機能トレーニング法」を開発し、認知機能改善における有効性を確かめるため、大阪精神医療センターでの研究協力者を対象に臨床研究を開始した。
軽度認知機能低下や認知症の患者様に関しては、適切な認知機能改善トレーニングによる介入を実施することで、認知機能の維持や改善が認められている。またこれら介入は被験者の日常生活の中で継続的に実施できる自宅等で行うことが適切と考えられているが、医療従事者等が毎回これらのトレーニングに関与することは人的リソースの面で困難であるため、自宅でかつ継続的に認知機能改善トレーニングを実施可能なツールが求められている。
今回開発した「AI ロボットを用いた新しい認知機能トレーニング法」は、自宅で継続的に認知機能トレーニング課題(注意力、判断力、遂行機能、言語機能など)に取り組める内容となっている。
AI ロボットを自宅に設置したあとは、トレーニングのタイミングになるとAI ロボットが自動で呼びかけて取り組みを促し、利用者の回答内容によって認知機能トレーニング課題の難易度を変更するなど、医療従事者の役割を担う。
使用するAI ロボットは、認知機能トレーニング課題を音声で読み上げると同時に、連携する専用タブレットアプリ画面にイラストやテキスト等を表示し、利用者は画面操作だけではなく対話で回答することもでき、デジタルが苦手な高齢者にも最適化している。
本研究により、個人の認知機能の個別性に合わせた効果的な認知機能維持・改善トレーニングを、人的労力をかけずに持続的に実施できるシステムを構築し、健康寿命の延伸や認知症に伴う社会負担の軽減に繋がることを目指すという。