調和技研は23日、トヨタ自動車と共同開発を行い、良品学習による製品異常検出AIエンジンを開発したと発表した。
同社の画像系AIエンジン「visee」をベースに開発をした。本製品異常検出AIエンジンは、トヨタ自動車衣浦工場にて2021年12月から試験的に利用を開始している。
■トヨタ自動車の抱えていた課題
少子高齢化およびコロナ禍に伴う工場の省人化対策として、センサーやカメラを用いた検査工程の省力化・自動化を実現するAI導入が社会的に普及し始めている。その一機能として存在する画像認識による製品の良品判定AIは以下の制約があり、トヨタ自動車も同様の課題を持つ中、調和技研に依頼があった。
・製品検査に異常検知AIを導入する際、学習モデル構築のため多くのデータが必要
・精度を向上させるためには異常品画像データも数百枚単位で必要となるが、異常品が発生しにくい現場では、異常品画像データを用意するのが困難
・異常品データが少ない場合、異常検出の精度が出にくい
■共同開発で実現した製造業向け異常検出AIエンジンの特徴
・異常品が極めて少ない工業製品において、良品画像のみで学習可能なAIモデルを構築
*異常品データは、アルゴリズムの検証でのみ必要なため、極少量の準備で実現可能
・独自のアルゴリズム開発により、高い異常検出精度を実現
・学習機能により、継続的な良品画像を増やすことで更なる精度改善も実現可能なモデルとして開発
これまでの多数のPoCによって得られた経験、および大学研究室の連携を通じて得られた知識を活かし、論文等で発表されている最新のアルゴリズムを取り入れ、応用することで、高性能な異常検知AIエンジンを実現。
良品学習によるAIモデル構築し、それを用いることで実際の製品において極めて高精度の異常検出精度が得られている。不良が少なく、不良の見逃しが許されないような製品を扱う現場への適用が可能となり、トヨタ自動にも好評だという。ケースによっては100%に近い検出精度が得られ、異常品があまり発生しない製品の外観検査において有用性を発揮する。