メドメイン、前立腺癌を病理組織デジタル標本から検出するAIの開発に成功

デジタル病理支援ソリューション「PidPort」を提供するメドメインは26日、Deep Learning(深層学習)の転移学習を用いることで、前立腺の針生検病理組織デジタル標本において、前立腺癌を極めて高精度に検出する人工知能の開発に成功したと発表した。

また、この開発に関する論文をMDPIが発行するDiagnosticsに投稿し、2022年3月21日にArtificial Intelligence in Pathological Image Analysisの特集号で掲載された。

本研究は、2021年にCancers誌およびDiagnostics誌に発表した「転移学習を用いた乳腺浸潤性乳管癌および大腸低分化腺癌の検出を可能にする人工知能の開発」に引き続く一連の転移学習を用いた人工知能開発の成果。2021年7月に国際発表した「転移学習の基盤技術創出」に関する研究論文を応用し開発した。

わが国における前立腺癌による死亡率(人口10万対)は20.8人(2019年)で、2004年の14.4人から増加しており、年齢階層別死亡率(2019年)では、70歳を超えてから急激な増加がみられるという。

前立腺針生検による病理組織診断の結果は、前立腺癌の診断・治療決定において極めて重要。本研究の目的は、臨床的汎用性の高い前立腺針生検デジタル標本において、前立腺癌の検出を可能にする人工知能を、深層学習を用いて開発することにある。

本研究では、国内の複数の医療機関から、前立腺針生検組織標本の提供を受け、partial fine-tuning法(Proceedings of Machine Learning Research 143:338-353, 2021)による転移学習を行うことで、病理医による精密且つ大量のアノテーションデータを用いることなく、前立腺癌を検出する人工知能を開発した。また、開発した人工知能は、教師データとは異なる検証症例ならびに公的データベース(TCGA)からの症例をもちいて、精度の検証を行った。

同社で開発済みの病理AIモデルの中で、大腸低分化腺癌を検出する深層学習型人工知能モデルが一定の精度で前立腺癌細胞を検出したため、このモデルをもとにした転移学習により前立腺癌を検出する深層学習型人工知能モデルを開発した。開発したモデルを検証したところ、検証症例において、ROC-AUCが0.98前後という極めて高い精度が得られた。また、ヒートマップにより表示された人工知能が検出した前立腺癌を示唆する領域は、複数の病理医による検証の結果、妥当であることが確認された。以上のことから、前立腺針生検病理組織デジタル標本において、極めて精度高く、前立腺癌を検出する人工知能の開発に成功した。

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論文掲載箇所
デジタル病理支援ソリューション「PidPort」
メドメイン

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