日本テレビ放送網(日本テレビ)は5日、NTTデータの協力のもと映像編集の自動モザイク入れAIソフトウェア「BlurOn(ブラーオン)」をリリースしたと発表した。
BlurOnは従来、映像編集者が1フレームずつ行っていた人物の顔やナンバープレートなどへのモザイク入れを自動化できるソフトウェアです。モザイク入れは非常に手間のかかる作業で、例えば1分の映像素材へのモザイク入れはベテランの映像編集者でも1時間程度かかることもあり、現場の課題となっていました。さらに近年では、個人情報保護の重要性の高まりから、番組映像についても一層の慎重な取り扱いが必要となり、作業負荷が増大している。
日本テレビやグループ会社におけるBlurOnを使った実験では、作業時間を最大90%程度効率化できる結果が得られた。BlurOnは全ての映像編集者のモザイク入れ作業を効率化し、現場の働き方改革を目指すという。
テレビ業界の映像編集では、個人情報保護を目的に映像内の一般の方々にモザイクを入れることが多く、この非クリエイティブな単純作業に多大な時間と労力をかけている。例えば1時間の番組を制作するのにモザイク入れだけで2〜3日費やす場合もあり、これはテレビ業界のコンテンツ制作における大きな課題だった。
近年、AI技術も進歩し「社会課題解決へのAI活用」が求められる時代になった。画像認識AIの精度も格段に向上し、実用化レベルまできている。この技術による課題解決の可能性を感じ、日本テレビとNTTデータが手を組んでBlurOnの共同開発プロジェクトが立ち上がった。映像制作のプロである日本テレビが持つ映像編集ノウハウと、日本のAI開発を牽引してきたNTTデータの高い技術力を組み合わせて、クリエイター目線で「カンタンで使いやすい」「質の高いアウトプットが可能」な製品の実現を目指し、試行錯誤を繰り返してきた。
働き方改革が謳われる今、モザイク入れという単純作業からクリエイターを解放し、テレビ業界だけでなくコンテンツ制作業界全体の働き方改革を実現するというのが、両社の夢であり、目標だという。実際にユーザーからBlurOnを利用して「よりクリエイティブなことにより時間を使えるようになった」との声がある。モザイク入れの自動化プラグイン「BlurOn」で、“クリエイティブな仕事”に集中できる時間を創出する。
<プロダクトの特徴>
1.AIで自動検出可能な対象:顔、頭部、全身、ナンバープレート。
2.Adobe After Effectsのプラグインとして利用できるため、別ソフトの立ち上げなどが必要ない。
3.クラウドで検出処理を実施するため、必要最低限のPCスペックで動作可能。
<使い方>
(1)Adobe After Effectsにモザイクを入れたい動画ファイルを追加
(2)クラウドにアップロード(自動処理)
(3)顔などの検出情報をダウンロード
(4)Adobe After Effectsで用途に合わせてエフェクト(ぼかし、モザイク、色付けなど)・領域の形・位置などを調整可能