クレスコは2日、2022年9月27日に、画像認識AIによる画像分類結果の根拠を可視化する情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムの特許を取得したと発表した。当発明を活用することで、医療分野における医師判断の補助、次世代教育などへの寄与が期待できるという。
同社の研究開発部門「技術研究所」では、生活全体の豊かさ(QOL)を維持・向上することを目標に、AIによる医療現場の診断支援、未病対策、健康管理支援の実現を目指している。2016年から医療機関と連携し、AIによる眼科領域の医師の診断支援の研究を開始。 2019年には、正常な眼と疾患のある眼の光干渉断層計(OCT)画像を比較し、乖離の度合いを示す「スクリーニング機能」を実現し、眼科医療機器の画像ファイリングソフトウェアに採用された。
AIの判断はブラックボックスと言われており、判断の根拠が人間には必ずしもわかるとは限らず、それがAIの普及を妨げる一因となっている。当発明は、AIが画像内のどこを見て判断しているかの「判断の根拠」を明らかにする手法の一つ。根拠が明示されれば、医師が判断する際の参考としやすく、また患者への説明の手助けともなり、教育現場への活用も期待できる。
本発明は、疾患を判断する医療画像内の「その疾患の所見として合致する部分(正の寄与部分)」と「所見として合致しない部分(負の寄与部分)」を抽出し、可視化する手法。これまで可視化対象として注目されていなかった負の寄与部分にも注目し、疾患判断に必要な要素を明確化する。
<正負の寄与部分の判断手順>
(1)診断画像を格子(グリッド)状に区切り、区切った一部分をマスクした画像を複数生成する。
(2)元の画像と生成したマスク画像を画像分類AIに読み込ませ、対象となる分類の確信度の大きさの変化を求める。マスクすることにより確信度が下がる格子は「正の寄与部分」として赤く塗り、上がる箇所は「負の寄与部分」として青く塗る。塗った色の明るさ(輝度)は、確信度の変化の大きさを表す。すべての格子に対してこの操作を行い、画像を生成する。
(3)格子の大きさによって画像解像度と捉えられる特徴の大きさが変わるので、格子のサイズを変えた画像を生成する。生成した画像を重ね合わせて、より情報量の多い画像を得る。
(4)画像化した正負の寄与領域を診断画像に合成することで、元の画像における正負の寄与領域が明確化される。
本発明は医療分野の他にも、産業分野での画像分類などの根拠の可視化にも応用が見込める。