zero to one、東北大学・昭和大学と共同で対話型AIチャットサービス「AI模擬患者」の開発に着手

zero to oneは17日、東北大学自然言語処理研究グループ(東北大学NLPグループ)、昭和大学と連携し、自然言語処理の技術を生かした、医学教育向けの対話型AIチャットサービス「AI模擬患者」(仮称)の開発に共同して着手したと発表した。

本プロジェクトでは、AIを用いた模擬患者を創造する新しいシステムの開発を目指し、医学教育におけるAI活用を通したDXの推進に取り組んでいくという。

高齢化社会の進展に伴い、医療提供の方法も、これまでの病院や診療所での診察・治療に加えて、訪問診療やオンライン診療など多様化している。他方では、患者の生活環境や生活習慣、体調などに応じて適切な治療や医療アドバイスを行うにあたり、特に医師側のコミュニケーション能力の向上が求められており、医療面接を含めた、医学生の技能を確かめる共用試験(OSCE(Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験))は、2023年度から公的化されることとなった。

これまでのところ、大学医学部における医療面接の練習や試験は、主に、高齢男女のボランティアをはじめとする人間が、事前に決められたシナリオを覚えるなどして「模擬患者」として参加する形式で行われている。ただ、ボランティアの更なる高齢化や共用試験の公的化を前にして、「模擬患者」への需要そのものの増加が見込まれており、「AI模擬患者」が実現すると、活用ニーズは非常に大きいと予想される。

現状では、「AI模擬患者」は日本では初歩レベルのものも含めて実現しておらず、昨今のAIの技術進歩、特に自然言語処理技術と音声認識の進歩を活かして実現した場合には、革新性・競争優位性ともに極めて高いものになると予想される。特に最近注目されているChatGPTのような自然言語処理技術を活かした、コンテキストを理解し対話するAIチャットサービスの可能性は、極めて大きいものと想定されている。

zero to oneは、「社会とともにイキイキと生き続ける力を引き出す」をミッションに、東京大学大学院松尾豊教授、東北大学大学院岡谷貴之教授などの有識者を顧問に迎え、昨今社会に必要とされるAIやデジタル分野の教育コンテンツを中心に提供している。本プロジェクトでは、開発の中心的役割を担い、東北大学NLPグループと昭和大学から適切なアドバイスやサポートを受けながら、プロジェクトを進めていく。

東北大学NLPグループは、言語処理学会会長も務める乾健太郎教授(東北大学大学院情報科学研究科)率いる研究グループで、今週開催されている「言語処理学会第 29 回年次大会」でも、研究室単位で最大となる30本以上の論文が提出されるなど、日本の自然言語処理分野をリードする存在。本プロジェクトでは、乾教授が技術顧問として参画しているほか、同研究室博士後期課程1年小林悟郎氏を中心に、プロジェクト進行のアドバイスや、そのほかの調査や具体的な実装に関するサポートを行う。

昭和大学は、学内の医学部・医学教育学講座に所属され、医学部のカリキュラム開発と臨床実習、医学部OSCEの実施責任者である土屋静馬准教授と、同講座の川原千香子准教授、古田厚子講師が本プロジェクトに参画。医学教育に関する専門的立場から、データの活用やAIのふるまいに至るまで、幅広いアドバイスやサポートを行う。

本プロジェクトが取り組むコミュニケーション能力の向上は、医学分野に限らず、日本社会においてその重要性が認識されているところ。今回の「対話型教育システム」のベースとなるAI技術は、営業職や介護職などの、高度なコミュニケーション能力が求められる職種への教育活用や、幅広いコミュニケーションスキル向上のためのソフトウェアや製品の開発、さらには個別性の高い分野に向けてカスタマイズした新たな製品開発など、波及的な効果も大きいと予想され、日本の産業の活性化に大いに寄与するものだという。

関連URL

東北大学自然言語処理研究グループ
昭和大学医学部・医学教育学講座
zero to one(ゼロ・トゥ・ワン)

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