生成AIによる画像の利用、イラストレーターの86.7%が「著作権意識する」=ナイル調べ=

ナイルは、同社が運営するスマートフォンユーザー向けアプリ情報メディア「Appliv(アプリヴ)」で、全国男女6592人を対象に、2023年6月14日~6月25日の期間で、画像生成AIの利用状況と著作権に関する意識調査を実施、28日結果を発表した。

10代~60代の男女6592人に、画像生成AIへの興味・関心度を調べたところ、「頻繁に使っている」が4.3%、「興味があり試しに使ったことがある」が9.1%、使ったことがある割合は13.4%だった。

「興味があり調べたりしているが使ったことはない(17.7%)」「興味はあるが、知らなかった(12.0%)」を合わせると、画像生成AIに興味があると回答した人は全体の43.1%を占めている。

このように4割以上が画像生成AIに対する興味・関心を持っているが、利用経験者は少ないことから、まだまだ普及しているとはいえず、今後の動向が注目される。

続いて、プロ・アマを含むイラストレーター331名と一般回答者328名に、画像生成AIを利用する目的を聞いてみた。

その結果、「仕事のため」と回答した割合は、イラストレーターが54.1%、一般回答者が21.3%だった。イラストレーターが仕事で画像生成AIを利用している割合は、一般回答者の2.5倍以上となっている。

また、「一度も利用したことがない」割合はイラストレーターが5.4%、一般回答者では24.7%となっており、仕事に限定せず、画像生成AIの利用はイラストレーターの方が高い傾向にあるといえそう。

AIによって生成された画像を利用する際に、著作権を意識するかどうか尋ねたところ、「常に意識する」と回答したのは、イラストレーターが46.8%、一般回答者が43.0%だった。

「たまに意識する」と回答した人も含めると、イラストレーターの86.7%が著作権を意識していることがわかった。これは一般回答者(76.5%)より10ポイント以上高い結果となっている。

イラストレーターは、自分が描いた作品だけでなく、AIによって生成された画像を利用する際にも注意を払っている人が多いようだ。

AIが作成した画像をめぐる著作権の問題について知っているかどうかを聞いた結果、両者ともに約9割が「知っている」と回答した。

そのうち、「自分で調べた」と回答した人の割合は、イラストレーターが44.7%に対し、一般回答者は25.3%と20ポイント近く差があった。

多くの人がAIによる画像の著作権問題について認識しているようだが、積極的に情報を収集している割合は、イラストレーターの方が高いようだ。

画像生成AIの商用利用に対して意見を聞いてみると、イラストレーターは「賛成」が30.5%、「やや賛成」が39.3%となっており、69.8%が賛成意見を示した。

一般回答者においても、賛成意見は61.6%と全体の半数を超えている。しかし、「賛成」と回答した割合は17.4%と、イラストレーター(30.5%)を下回っている。

また、反対意見を示した割合を見てみると、イラストレーターが23.5%に対し、一般回答者は29.2%だった。イラストレーターの方が画像生成AIの商用利用に賛成している割合が高いことから、イラストレーターは自身に対する影響を考慮し、画像生成AIに対し肯定的にとらえている人が多いのではないか。

商用利用に賛成と回答した人の理由を調べた結果、最も回答が多かったのは「多様な表現を可能にし、芸術やデザインの新たな領域を開くと思う」だった。

2番目に多かったのは「新たなビジネスの可能性を広げ、経済的な利益をもたらすと思う」、続いて「生産性を高め、時間や人的リソースの節約に繋がると思う」となっている。

なお、TOP3は両者同じだったが、生産性の向上に関しては、イラストレーターが12.6%に対し、一般回答者は26.2%と2倍以上だった。画像生成AIが多様な表現を可能にすることに価値を感じているが、生産性の向上に関しては、一般回答者の方が重要視している傾向が高いと考えられる。

反対と回答した人の理由を見てみると、イラストレーターの回答で最も多かったのは「創作者の仕事を奪い、経済的な悪影響を及ぼす可能性があると思う(34.6%)」だった。

続いて、「オリジナルの作品を軽視し、人間の創造性や技術を過小評価していると思う(33.3%)」、「著作権者の権利を侵害する可能性があると思う(20.5%)」となっている。

一般回答者では、「著作権者の権利を侵害する可能性があると思う(33.3%)」が最も多く、「オリジナルの作品を軽視し、人間の創造性や技術を過小評価していると思う(21.9%)」、「創作者の仕事を奪い、経済的な悪影響を及ぼす可能性があると思う(18.8%)」と続いた。

画像生成AIの商用利用に対して否定的な意見を持つ背景には、イラストレーターは創作活動への影響、一般回答者は著作権侵害を懸念している傾向があるようだ。

しかし、「AI生成画像の品質や精度はまだ不確定で、商用利用には不適当だと思う」と回答した割合は両者ともに5%前後であることから、現時点でAI生成画像の品質や精度を疑う声は低いといえる。

■調査概要
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年6月14日~2023年6月25日
調査対象:全国の10代~60代男女
サンプル数:6592人(うち、イラストレーター331人、一般回答者328人を抽出)
◇性別
男性:3291人
女性:3301人
◇年齢
15~19歳:1100人
20~29歳:1101人
30~39歳:1100人
40~49歳:1100人
50~59歳:1091人
60~69歳:1100人

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調査データの詳細 
ナイル

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