シャープは25日、倉庫の収納力拡大とピッキング作業の効率化を実現し、倉庫運営における生産性向上に大きく貢献する「ロボットストレージシステム」を開発したと発表した。
本年11月10日から12日まで東京ビッグサイト 東8ホールで開催する同社技術展示イベント「SHARP Tech-Day」で初披露する。
物流業界では、ECの拡大などを背景に物流量の増加や人手不足が深刻化。また、2024年4月からドライバーの年間時間外労働時間に上限が定められることから、業務効率化が喫緊の課題となっており、倉庫運営においてはロボットを活用した自動化へのニーズが急速に高まっている。
本システムでは、品物を格納する専用棚を建物の天井高に合わせて設計する。デッドスペースになりがちな倉庫上部の空間を有効活用することで収納力を拡大し、季節や需給状況により変化する在庫量に合わせた柔軟な対応を実現する。
自動搬送ロボットは、バランス設計により高所のコンテナの移載にも対応。最大5.3mの高さに収納されたコンテナもぐらつきを抑えて取り出し、ピッキング作業者のもとまで運搬する。上下に伸びたフレームは、長さを5.3mから3.6mの間で伸縮可能な可変式なので、防火シャッターや梁などにより高さが限られる場所もくぐり抜けて走行することができる。同社独自の集中制御システム「AOS(AGV Operating System)」により、最大500台までの自動搬送ロボットを一元管理。最短経路などを算出し、最適な配車を行う。ピッキング作業者は、目の前に運ばれてきたコンテナからピッキングするだけなので、作業を大幅に効率化するとともに、人為的ミスの抑制にも貢献する。
「SHARP Tech-Day」では、本システムのほか、量子コンピューティング技術を活用した組み合わせ最適化処理(量子アニーリング)による、自動搬送ロボットの多台数同時制御や倉庫運用の革新的な効率化を実現する技術開発への取り組みなど、物流業界の課題解決に資する新たな提案を行う。