アイリスオーヤマは7日、清掃業務における作業者の負担軽減や人手不足に対応するため、同社で初めて自社の大連工場(中国・遼寧省)で製造したDX清掃ロボット「BROIT(ブロイト)」を発売すると発表した。「BROIT」は、2024年半ばの発売を予定している。
国内における業務用清掃ロボット市場は、他市場と比較すると特に高齢化や多様化が著しく、作業者の負担を軽減する手段の一つとして当該製品の導入ニーズが急速に拡大を続けている。今後も、ロボットを用いた清掃業務の自動化や省人化へのニーズが一層高まることから、継続的な成長が見込まれている。
同社は、こうした市場背景を踏まえ、2020年にロボティクス市場に参入し、翌年にはソフトバンクロボティクスグループとの合弁会社「アイリスロボティクス株式会社」を設立することで当該事業を強化している。これまで同社がサービスロボットを導入した企業数は約5000社に上り、国内法人向けサービスロボットの主要事業者に成長している。さらに、今年7月には、ロボット開発を手掛ける東京大学発スタートアップ企業「スマイルロボティクス株式会社」の全株式を取得し、ロボットメーカー構想への基盤を構築している。
今回新たに発売する「BROIT」は、同社として初めて自社工場で製造する、水拭き清掃ができる自律走行型ロボット。スーパーマーケットやホームセンター、飲食店などの商業施設や介護・医療施設のセラミックタイルやビニル床などの水拭き清掃に加え、乾いた床も除塵清掃することができる。また、使用者のユーザビリティに着目し、給排水タンクを着脱式にすることで給排水場への移動作業を省略できる。さらに、着脱交換ができるリチウムイオンバッテリーを搭載したことで、充電中に清掃が中断するデッドタイムを大幅に低減でき、フレキシブルな清掃計画が立てられる。
「BROIT」を自社工場で製造することで、タイムリーな仕様改修や品質改善、コスト調整のほか、メンテナンスなどのアフター・サービス体制の一元化が実現する。「BROIT」の自社工場製造を皮切りに、製造体制及びサプライチェーンの基盤を整備し、2025年には自社でサービスロボットの設計・開発から製造・販売までを一貫して行える「ロボットメーカーベンダー」としての自立を計画している。さらに、2027年度には、業務用清掃ロボット関連事業で年間売上約1000億円の達成を目指すという。