大日本印刷(DNP)と大阪府大阪市は17日、「生成AI時代における“マシンフレンドリー”なデータのあり方の検討にかかる連携協定」を締結した。
本協定では、PDFやWord等のドキュメントを、生成AIが参照しやすいデータ形式に整形するDNP独自のデータ整形技術「ドキュメント構造化AI」を活用し、生成AIの参照に適したデータの特徴を整理・類型化する。これにより、生成AIの活用を見据えた適切な業務文書等のあり方について共同で検証する。
【連携協定の概要】
○対象データ:大阪市が保有する業務文書等(事務処理マニュアル他)
○実施期間:2024年5月17日(金)~7月19日(金)
○主な取り組み:
・DNPの「ドキュメント構造化AI」を活用し、大阪市保有の業務文書等を生成AIが参照しやすいデータ形式に変換する。
・変換前、変換後のデータをDNPが構築した生成AIシステムのデータベースに登録し、回答精度の比較などの検証を行う。
・生成AIに適したデータ形式の特徴について、「ドキュメント構造化AI」の処理の過程で検出して、整理・類型化する。
【DNPの「ドキュメント構造化AI」について】
・「ドキュメント構造化AI」は、PDFやWord等の多様な文書を、生成AIが参照しやすいデータ形式に整形する技術。テキスト・画像・表組等が混在したドキュメントに対し、独自のAIモデルを使ってタイトルや本文、画像や表の内容・キャプション等の各要素に分割することで、生成AIが参照しやすい形式にする。整形後のデータを生成AIが扱うことにより、誤回答や非回答の件数を減らし、高い精度での回答を実現する。
・本技術の開発にあたってDNPは、社内規定・品質マニュアル・決算短信などのデータを整形し、生成AIに参照させて実証実験を行った。その結果、整形後のデータを用いた場合は、整形前のデータ利用時と比較して、誤回答を約90%削減することができた。
・本技術はドキュメントの構造認識分野において関連特許を取得している。
・企業・団体等が保有する各種データの整理や、AIで処理しきれないデータの補正などについては、DNPのBPO(Business Process Outsourcing:業務委託)サービスと連動させて対応。DNPは、企業・団体等の保有データの構造化や生成AIの利活用による効果の拡大・負荷の軽減などをトータルにサポートする。
DNPは、今回の検証を通じて、大阪市の自治体業務における生成AIの利活用を支援するとともに、同様の課題を持つ企業・団体・自治体等へのサービスの提供を目指す。
またDNPは、「DNP生成AIラボ・東京」を2023年12月4日に開設し、社外のパートナーとともに多様なユースケース(使用事例・用途例)の構築を加速させている。今後もDNPは、社内・社外ともに、事業や業務等への生成AIの活用を推進・強化していくという。