神戸大学とフューチャーは10日、医学生向けにAIを活用した医療面接トレーニングアプリを開発し、2024年10月から11月末にかけて有効検証を実施したと発表した。
神戸大学とフューチャーは、神戸大学医学研究科および神戸大学医学部附属病院におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の調査研究、試行に関する共同研究契約を2023年4月に締結し、最先端のテクノロジーを活用した大学および附属病院のDXとイノベーションを推進している。
今回の取組みは文部科学省の「質の高い臨床教育・研究の確保事業」において採択された事業の一環として、自然言語処理技術を活用し医学生向けの対話型AIアプリを開発するもの。臨床実習前教育において重要な「医療面接」教育では、対面のトレーニングが必要であり、時間的および人的制約から十分な学修時間を確保することに課題があった。本アプリを使用することで、これまで教員等が務めていた模擬患者役をAIが代替し、医学生は時間と場所にとらわれずに音声対話による自習に取り組むことができる。また、CATO*1が公表している学修・評価項目に沿った形で対話が自動評価されるため、客観的なフィードバックにより効率的な技能習得が可能になり、医学教育の質の向上が期待できる。トレーニング画面は実写映像により患者の表情も再現しており、高精度な医療面接練習を体験することが期待できるという。
今後は有効検証で医学生から得たフィードバックをもとに実用化に向けた改修を行い、学習の効率化による臨床教育の質の向上を目指すとともに、教員の負荷軽減につなげていく。
神戸大学とフューチャーは、「医師の働き方改革」や「医療の2040年問題」といった社会課題の解決に向けてデジタル活用を推進していくとしている。
*1:CATO(公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構) Student Doctorとして臨床実習に参加するためには、共用試験(CBT)、臨床実習前客観的臨床能力試験(Pre-CC OSCE)を受験し、基準に到達する必要がある。