ゲオム、AIとIoTにより認知症の行動・心理症状(BPSD)の予測に成功

ゲオムは26日、AIで認知症の人のバイタルデータや環境データ、介護記録等を分析し、認知症の行動・心理症状(以下BPSD)が発症する60分前または30分前に予測し、科学的根拠に基づく適切なケア方法と共に通知する認知症対応型AIサービス「GEOM.ai」の販売を開始すると発表した。本技術により、介護者の負担を減らし認知症当事者が自分らしい生活を送るための補助となり、より高度な個別化認知症ケアの実現や普及に貢献するという。

現在、介護負担の軽減や認知症の方のQOL維持のために、科学的根拠に基づく介護DXが求められている。GEOM.aiを利用することにより、一見、手に負えないように思われる認知症の不可思議な混乱状態も正確に理解することができ、それに対する科学的な認知症ケアが可能となり、BPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)の発症予防や介護負担の軽減が期待できる。また、GEOM.aiはコネクティブAIとして開発されており、今後様々な介護ソフトやコミュニケーション・ロボットとのAPI連携も進める予定。

実証事業において、BPSD発生予測率は80%以上、再現率は90%を上回った。介護の効率化においては直接的介護で23.3%、間接的介助で44.5%延長し、従来は介護者1人で3人しか対応できなかった現場が、1人で4人以上対応できるようになるなど介護負担の軽減効果が得られている。

分析方法として、被介護者のバイタルデータ(呼吸、脈拍数、体動、睡眠・覚醒状態)と環境データ(温度、湿度、気圧、照度、騒音、CO2濃度)の時系列数値データを用い、BPSD発生の有無と時間・関係性・規則性をAIで判定しました。さらに、介護現場で記録される介護記録(評価データ)等をクラウドプラットフォーム内で自動分類し、蓄積させた。これらのデータを元に相関性をAIに学習させ、30分後と60分後のBPSD発生確率を予測し、同時に「科学的根拠」に基づく適切なケア方法をアプリ上にプッシュ通知する仕組みを構築した。

これにより、介護従事者はAIから通知された内容をタブレットで確認し、適切なタイミング・手法で介護ケアを行うことが出来る。その結果、兆候があったBPSDが発症せず、予防ケアとしての効果が実証された。尚、実証事業期間内における症状別予見精度については下図の通り。

本研究は、総務省「IoTサービス創出支援事業」等およびAMED「医療・介護・健康データ利活用基盤高度化事業(認知症対応型 AI ・IoTシステム研究推進事業)」(22us0424001)により開発された認知症ケア補助人工知能システムDeCaAI(Dementia care-assist AI)が基盤となっている。

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認知症高齢者研究所
ゲオム

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