長崎県五島市教育委員会、三菱総研DCS、日本サード・パーティは、小学校における学習支援ツールとしてコミュニケーションロボットを活用することをめざし、五島市立奥浦小学校で実証実験を実施した。
実証実験は、児童や教員がスムーズにソフトバンクロボティクスの小型の二足歩行ロボットを受け入れられるよう、段階的に使用範囲を拡大しながら進めた。
実証実験の結果、「児童の情意面」では、児童がロボット(実験中は「なおくん」と命名しました)とのふれあいを楽しみ、一緒に学習する仲間として関心を持って受け入れている姿が見受けられた。実証実験後の児童へのアンケートからも明らかになっているという。
「児童の学習面」では、短期間での実証実験のため、学習面での数値的なデータの代替として、教職員へのアンケートやヒアリングを行い、貢献の可能性をとらえることができたという。
一方で、継続的な活用について、Wi-Fi環境が不安定で、操作画面が表示されなかったり、ロボットの応答が遅延して使えなかったりすることがあり、使用に不安があるといった課題も明らかになったという。
今回の実証実験では、もっとも効果的な活用が想定されていた英語科での活用とともに、他教科(算数)への広がりについても検証し、一定の評価を得ることができた。また、ヒューマノイド型ロボットの身体性がもたらす特徴として、「人」よりも話しかけやすく、また電子教科書にある動画のような「ツール」よりも真摯に向き合う姿勢を引き出すことがわかり、今後のコンテンツ拡充のひとつの視点を得ることができた。
一方で、ネットワーク通信量の軽量化や、一部オフライン稼働の実現など、現在の学校現場のネットワーク環境に即した改良も喫緊の課題として明らかになり、商品化への具体的な対応が求められているという。
今回の実証実験で得た結果をもとに、児童への新たな教育機会の創出と教員の働き方改革の両面に貢献するべく、教育現場でのコミュケーションロボットの活用検討について、引き続き取り組んでいくという。
《実証実験の実施概要》
期間: 2019年9月24日~2020年2月28日
対象: 長崎県五島市立奥浦小学校 全校児童43人
使用内容:
・英語教育で設定されているSmall Talkの実施
・クイズ形式での算数問題の出題、正誤判定