VRとAIによるうつ病などの治療法開発が都のベンチャー育成支援プログラムに選出

ジョリーグッドは7日、東京都が主催する創薬・医療系ベンチャー育成支援プログラム”Blockbuster TOKYO”の2020年度の選抜プログラムに選出されたと発表した。

ジョリーグッドは、うつ病患者を対象に、世界でも注目の高まっているソフトウェアを使ったデジタル治療「デジタルセラピューティクス(DTx)」の研究を開始している。ジョリーグッドは、うつ病の新しい治療法として、認知行動療法をベースにしたDTxである「認知行動療法VR」の普及を目指すという。

精神疾患はわが国の5大疾病のひとつであり、患者数は約420万人と最も多いです。その中でもうつ病は127万人と最も多く、1年間の社会経済コストは年間3兆900億円に上るという。また、コロナ禍による外出自粛や経済低迷は、人々の心に大きな不安を与えている。8月の日本の自殺者数は1849人で、前年に比べて246人と大幅に増加。感染拡大によるストレスからうつ病や自殺に至る危機については、日本以外の国でもその数が顕著に増えており、国連が警鐘を鳴らしている。

認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapies; CBT)は、認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種。認知は、ものの受け取り方や考え方という意味。ストレスを感じると私たちは悲観的に考えがちになって、問題を解決できないこころの状態に追い込んでいくが、認知療法では、そうした考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていく。うつ病治療において、認知行動療法は第一治療選択のひとつで、軽症の状態に対しても適用が推奨されており、幅広い対象に適用が可能だという。

うつ病の特徴として、活動が低下し、自室等に引きこもり、反芻を繰り返すことでネガティブな気分が悪循環するという傾向がある。認知行動的な観点に立てば、うつ状態では様々な考えや行動から、ポジティブな感情を体験する機会が邪魔されているとも捉えられる。

認知行動療法VRは、従来の認知行動療法の構造をベースに、セラピーの中で行う考え方や場面の説明をVR化。対話で自分の行動を客観的に学習(認知)させ、行動変容を促す従来の方法では、場面イメージの齟齬や、セラピストのスキルへの依存などの課題があった。VRで様々な出来事や状況を当事者体験することで、場面イメージの齟齬を無くし、短時間で質の統一されたセラピーの実現が可能だという。

また、AIによる機械学習を重ねることで精度を向上させ、VRによるうつ病評価とその疾患レベルに対する「VRコンテンツの調合」を自動化することを目指すという。

新型コロナウイルスや、様々な理由で通院が難しい患者に対し、クラウドで医師の治療計画や診断を管理できるシステムを開発。通院しなくても、デジタル治療の処方を受けることが可能となるという。

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