アクセンチュアと東京女子医科大学は5日、腎移植後のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に向けて、腎移植治療における人工知能(AI)活用の可能性について共同研究を開始すると発表した。
AIを活用してドナーと腎臓移植希望者(レシピエント)の腎移植前後の観察検査項目データから拒絶反応や副作用を予測することで、将来的な臨床現場における活用と、より効果的な治療法の選択につなげていくという。
今回の共同研究では、過去に東京女子医科大学病院泌尿器科で腎移植手術を受けた患者およびその腎ドナーの基本情報、投与した薬剤の情報、検査項目や経過観察結果などの情報を分析。アクセンチュアが開発したAI HUBプラットフォームなどを活用し、セキュアなデータ環境で、機械学習を含む複数の解析アルゴリズムから最適なものを選択、組み合わせて分析する。拒絶反応や副作用の発生予測、交絡因子の検証、最適なドナーとレシピエントの組み合わせの発見、術後の最適な治療法のレコメンドなど、アクセンチュアが開発したAIモデルの精度を検証。共同研究結果は、2021年中に学会での発表を目指すという。
日本は人口100万人当たりの透析患者数が世界第2位で、透析患者数も年々増加しており、腎移植を必要とする患者が多くいるという。昨今の腎移植では、ドナー選択時に行うHLA適合性判断や免疫抑制剤による拒絶反応制御によって、移植腎の生着期間が劇的に改善している。一方で、現行の治療法では制御が困難な免疫反応による慢性拒絶反応や、免疫制剤を長期間使用することによる副作用により、移植患者のQOL低下がみられるという。アクセンチュアと東京女子医大はこの課題を克服すべく、観察検査結果からの早期の慢性拒絶反応や、副作用の予見や有効性の高い治療法の選択において、実効性の高いAIの活用法を検討する。