タクマ、AIを活用した燃焼制御システム「ICS」導入でごみ焼却炉の手動操作削減

タクマは28日、ごみ処理施設において、AIを活用した燃焼制御システム「ICS」の導入によるごみ焼却炉の手動操作の削減や、Solution Lab(同社のプラント遠隔監視・運転支援拠点)からの遠隔監視・操作により、従来と比べて少ない2名の運転員で施設を安全に安定して運転できる技術を確立したと発表した。

これにより、大規模災害の発生や新型コロナウィルス感染症など感染症の拡大に伴い運転員に欠員が生じた場合でも、施設を停止することなく、少人数で安定したごみ処理を継続することが可能になるという。

ごみ処理施設の重要設備であるごみ焼却炉では、自動燃焼制御システム(Automatic Combustion Control、「ACC」)により安定燃焼を維持しているが、想定を超えるごみ性状の急激な変化が生じると、燃焼状態が不安定になることがある。このような場合、熟練運転員が炉内燃焼画像や燃焼温度等の運転データをもとに過去の経験を踏まえて不安定な燃焼状態になることを予測し、手動操作により燃焼状態を改善していた。

そこで同社では、昨今飛躍的に進歩したAI技術を活用することで、熟練運転員と同等の予測・操作を自動で再現できる燃焼制御システム(Intelligent Control System、「ICS」)を開発。「ICS」をごみ処理施設へ導入することで、燃焼状態の自動安定化を実現し、これまで熟練運転員が行っていた手動操作を99%以上削減した上で、熟練運転員が運転した場合と同等以上の安定的な操業が可能となった。

また「ICS」は、日々の運転データを学習することで予測性能の最適化を維持する“学習機能”を備えており、中長期的なごみ質の変動に対しても、常に安定燃焼を実現できるシステムになっているという。

通常、ごみ処理施設は3~4名の人員で運転され、これらの人員は中央制御室で焼却炉を含む施設全体の運転・監視のほか、機器点検・整備といった現場作業を行っている。不測の事態により2名で施設を運転する場合、安全上の理由で2名での作業となる現場での機器点検・整備中は中央制御室が無人となるため、施設の安定操業に影響を与える可能性がある。

同社のプラント遠隔監視・運転支援拠点「Solution Lab」は、各施設の中央制御室と同等の運転・監視機能を有しており、現地の中央制御室と同じく、各種運転データや炉内燃焼画像をリアルタイムで確認することが可能。このたび、関係省令の一部改正によりプラントの遠隔運転・監視が可能となったことを踏まえ、同社では今後、改正への対応を進め、「Solution Lab」を通じた遠隔でのごみ処理施設の運転・監視により、中央制御室が無人となる少人数での運転時においても、施設の安定操業を実現する。

同社は今後も、ごみ処理施設のEPCや、運営事業などのアフターサービスにおいて、国内360施設以上の豊富な納入実績と長年培ってきたノウハウをベースに、発展が著しいAI・IoT等のデジタル技術の活用による自動化・省力化はもちろんのこと、人材育成や技術継承の取り組みを強化し、新たな顧客価値の創出に資する製品・サービスを提供し続けることで、安全・安心で安定したごみ処理施設の運営に貢献していくとしている。

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プラント遠隔監視・運転支援拠点

タクマ

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