整形外科領域における医療機器開発を行うスタートアップ企業、iSurgeryは20日、胸部X線写真から骨を検査するAI医療機器「医用画像解析ソフトウェア Chest Bone Indicator」について、指定管理医療機器の製造販売認証を取得し、販売を開始したと発表した。
日本の高齢化が進む中で、骨粗しょう症患者数は約1300万人に上るが、投薬による治療介入が行われているのはわずか10-20%に留まっている。未治療の骨粗しょう症は骨折や要介護状態につながり、医療費・介護費は約1兆円にのぼる。骨の検査を実施するにあたっては、初期投資・設置スペース・人員配置などの理由から、限られた医療機関でしか実施できないのが現状。さらに、1人あたりの検査時間が10-15分もかかり、検査枠が限られていることも問題だという。そのため、検査を受けるには労力や時間が必要であり、心理的ハードルが高く、検査実施率の低さが長年の課題となっている。
深層学習による画像解析技術を応用し、一般的で撮影頻度の高い胸部X線写真から骨を検査するAI医療機器を開発した。この医療機器はソフトウェアで提供されるため、初期導入費用が抑えられ、設置スペースも最小限。X線撮影装置があればどこでも導入可能で、健康診断や日常診療で撮影されたX線写真を用いてわずか5秒前後で解析が完了し、人的コストを大幅に削減できる。
また、他の目的で撮影された画像を二次利用して骨の評価を行うことができ、追加検査の時間・労力・被曝なしに評価を受けられる。つまり、画像解析に同意するだけで、検査を受けられる。
骨の状態が若年平均値と比較して低下している場合は、骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインに則り、Dual Energy X-ray Absorptiometry法等による精密検査を行い、骨粗しょう症の診断と治療介入を行う。
同社では、「骨粗しょう症患者の早期発見・早期治療により骨折や要介護状態を減らし、健康寿命を伸ばす。」をビジョンに掲げ、胸部X線写真から骨を検査するAI医療機器を開発している。どこでも、誰でも、手軽に骨粗しょう症の評価を受けられる未来を目指して。同社は、骨粗しょう症診療のデジタルトランスフォーメーション(DX)により、高齢化社会が抱える長年の課題にブレイクスルーを起こすことを目指すとしている。