
岡山大学と岡山大学発ベンチャーであるビジュアルサーボは11日、ステレオビジョンを用いた空間計測について研究を行い、任意対象物の3次元位置姿勢を計測するコンピュータビジョン構築に成功したと発表した。
これにより、泳ぐ魚の3次元位置姿勢の計測が可能となり、カメラ-魚間の距離を算出し、魚の寸法を計測できるようになった。また、この計測方法では、魚を水中から取り出してテーブル上で全長計測する必要が無く、ナイロン袋などの透明な袋内で泳いでいる状態での計測を行うことができる。
通常、同種の魚は同じ体型、同じ体表の模様を持つことが多いが、錦鯉は個々が異なる体表模様を持っているため、画像を用いた全長計測では処理プログラムが複雑になる。この問題を、複眼カメラで同じ錦鯉を撮像した左右カメラ画像は、異なる位置・角度から撮像した視差画像であるという特徴を生かすことで、解決した。
見浪特命教授は、全日本錦鯉振興会関西地区長の児島徳昭理事の協力を得て、錦鯉のリモート計測値とテーブル上での全長(透明袋に鯉が袋の中で泳げる水量を入れた状態で計測)を測定した。
リモート計測方法は、動画から一対の左右カメラ写真を撮影し、その写真から20回全長を計測した後、平均値と標準偏差を算出した。その結果、12匹のリモート計測平均値(167.7mm)と全長の実測(172.4mm)の誤差は、わずか4.7 mm でした。この数値を実測値平均値172.4mmで割った平均全長誤差割合は2.7%で、リモート測定値の標準偏差の平均は1.9mmだった。
今回の提案手法は、錦鯉を透明な袋から出すことなく寸法計測できるため、コイヘルペスウイルスに感染する危険はないという。