レゾナックは18日、旧昭和電工と旧日立化成が過去蓄積してきたデータや文書(資料)を、生成AIにより対話形式で活用できる社内システム「Chat Resonac」を構築したと発表した。
従来、ベテラン社員だけが把握し若手社員は存在自体も知らず活用されていなかった資料にアクセスすることが出来、現在そして未来の社員へスムースに伝承していくことが可能になる。また、各部門に蓄積されている技術情報へも対話形式で部門を跨いでアクセス可能になるため、旧昭和電工と旧日立化成の技術を融合した新たな半導体材料の開発などにも寄与するという。
同社の基盤である旧昭和電工と旧日立化成には、それぞれ100年ほどの歴史があり、その変遷の中でさまざまな材料開発、製造等に関する資料が1社で5万点以上蓄積されている。これらの資料はベテラン社員なら紙のファイルやデータベースを検索して探し出すことで利用できるが、若手社員などは資料の存在自体を知らずにアクセスが困難なケースも多い。また、ベテラン社員が退職したあとは、これらの資料が未活用文書となるリスクがある。
そこで同社では計算情報科学研究センターが中心となり、生成AIにより社内の資料を対話形式で活用できるシステム「Chat Resonac」を構築した。社内資料を外へ漏洩しない環境へ取り込み、またベテラン社員からのデータ提供や回答へのフィードバックを組み込み、社内資料に特化した「Chat Resonac」アプリケーションとして回答精度を向上させているす。手書き文書をOCRでデジタル化して取り込む際も生成AI技術を活用した誤字脱字修正機能を組み合わせることで高精度化している。また社内で展開している電子実験ノートなどのデータも活用することがでる。
社員の世代間の橋渡しに加え、旧所属部門の枠を超えた情報活用や交流も可能になる。「Chat Resonac」を使い、材料の組成や分析データなど欲しい知見を参照し、さらにその知見を持つ社員にコンタクトして繋がることができる。
なお、同社では、社内で情報共有できる汎用型「Chat Resonac」に加え、利用制約がある資料を許可された部門のみで利用する特化型「Chat Resonac」についても、すでに20件以上のアプリケーション化が進行中。このほか、文書作成支援などの業務効率改善や、キャリア形成支援などを対象に生成AIによる業務改善の取り組みの領域を拡大する計画だという。