全国47都道府県で調剤薬局を展開する日本調剤は13日、corteとソラミチシステムが共同開発したAI薬歴作成支援サービス「corte」の導入を開始したと発表した。
日本調剤の 50店舗へ先行導入を行い、今後は効果検証を重ねながら、対象店舗の拡大を進めていく方針。「corte」の導入により、薬剤師の薬歴作成にかかる時間を削減し、業務効率化を推進することで、服薬後のフォローや医師へのフィードバックをはじめとした対人業務のさらなる充実を図り、医療の質を向上していく。
厚生労働省が掲げる「患者のための薬局ビジョン」により、薬剤師が地域包括ケアシステムの一翼を担う存在を目指し、「対物業務から対人業務」への転換が進んでいる。同社ではかねてから、医療サービスの質の向上はもちろん、人口減少に伴う医療の担い手不足などの課題を見据え、ICTや調剤機器を活用した業務の効率化などの医療DXの推進にいち早く取り組んできた。
「corte」は、患者と薬剤師の服薬指導中の会話から、指導内容や患者が伝えた症状など薬歴に必要な情報を生成AIが自動で要約し、テキストにて表示する。服薬指導の際に「corte」内の録音ボタンを押すだけで利用することが可能で、薬歴に記載するための文章を簡単に作成できる。
AI薬歴作成支援サービス「corte」の特長
・服薬指導時の会話の記録から、薬歴記載に用いられる記載方法であるSOAP形式でテキストを作成 (SOAP形式以外でも出力は可能)
・薬歴に不要な会話はカット(方言にも対応可)
・処方日数や残薬数などの数値や、病名、薬名も正確に入力
・パソコン、タブレット、スマートフォンで使用できるため、在宅訪問先でも利用可能
・情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO/IEC 27001:2013(JIS Q 27001:2014)認証を取得
通常の薬歴作成には、服薬指導中の患者との会話をメモに残し、服薬指導終了後に薬歴を記載する必要があり、薬剤師1人当たり1日平均1時間25分かかるとのデータがある。日本調剤は、「corte」の導入により、薬歴入力にかかる時間を減らすことができると期待している。また、業務の効率化に限らず、AIによって音声データを元に作成されることで、薬歴記載の抜け漏れを防止できることに加え、記載内容の客観性が高まり、薬歴記載の質の向上にもつながる。
今後は、「corte」による業務効率化の効果検証を継続して行い、導入店舗の拡大を検討していく。