Carelogyは11日、同社が運営する、猫の痛み検知AI「CPD」の判定結果動向を分析したところ、2023年5月中旬に本サービスがリリースされてから、同年6月末までに判定された4万匹超の猫のうち、49.2%の猫が「痛み表情:あり」と判定されていたことが分ったと発表した。
「CPD」とは、同社と日本大学生物資源科学部獣医学科との共同研究を通して開発された、猫の顔写真から痛みを抱えているかどうかが判定できるAIを搭載した無料のWebアプリ。
このAIは、カナダ・モントリオール大学発行の猫の痛み徴候指標『Feline Grimace Scale』を参考に、猫の専門医が痛みの有無に応じて分類した数千枚の猫の画像データセットを学習させることで開発され、臨床現場の画像を使った精度テストでは、90%以上の精度で猫の痛み表情を検知することに成功した。
「CPD」の研究開発で参考にした前述の「Feline Grimace Scale」は、猫の「耳」「ひげ」「目」「マズル(鼻あたり)」「頭の位置」の5項目をスコアリングすることで猫の痛み徴候を判断する指標のため、「CPD」の判定に眠っている猫の写真などを用いると不正確な判定結果となってしまう、というイレギュラーな場合がある。
しかし、そのような例外を鑑みても、「痛み表情:あり」が49.2%を占めるというのは驚くべき結果だという。
猫は表情の変化が乏しく、体調不良を飼い主に隠してしまうという性質が有名だが、このことで飼い主は猫の体調変化に気付くことが非常に難しいという。日本大学によれば「痛みを抱えている猫のうち7割は、動物病院に連れて行ってもらうことなく家庭内に放置されてしまっている」という調査もあるという。
また、ペットフード協会が発行している『(令和3年)全国犬猫飼育実態調査*』によると、猫の飼い主のうち約1/3は1年間で1度も動物病院に行っていないという。
これらの現状を踏まえると、今回の「CPD」集計結果の49.2%の猫が痛みを抱えている可能性がある、というのも実態からさほどかけ離れた数値ではないと推察されるとしている。