GMOインターネットグループで、インターネットリサーチ事業を展開するGMOリサーチは22日、保有する国内モニターパネル「JAPAN Cloud Panel(ジャパンクラウドパネル)」のモニターの1107人を対象に、AIトレンドに関する自主調査を実施その結果を発表した。
調査は、AIに対する理解を深め、多くの人がAIを活用し、社会の発展に貢献することを目的とした定点調査。2023年11月に初めて実施し、今回が2回目となる。
生成AIの認知と利用状況についてたずねたところ、「知っている人」(非常によく知っている・ある程度知っている・少し知っている)は71.1%と、昨年11月の63.6%と比較して7.5ポイント増加した。「知っている人」の中でも「少し知っている」で7.0ポイント増えており、理解とまではいかないものの、存在の認識は広がっているようだ。
「使ったことがある人」(日常的に使っている・ときどき使っている・ほぼ使わない)は33.5%と、昨年11月の16.6%と比較して16.9ポイント増加し、約2倍になった。
「知っている人」が7.5ポイント増えたのに対し、「使ったことがある人」は16.9ポイント増えているため、生成AIの存在を知った上で、利用するというアクションを起こした人の割合も増えていることが分かる。
しかし、「使ったことがある人」に利用頻度を聞いたところ、「使ったことがある人」(全体の33.5%)のうち半数以上(全体の18.4%)が「ほぼ使わない」と回答し、使ってみたものの活用できていない人の方が多いことがうかがえる。
有職者(パート・アルバイトを除く)に対して、生成AIの業務利用する場合に重視するポイントについてたずねたところ、最も回答が多かったのは「使いやすさ」(45.6%)、次いで「精度と信頼性」(37.2%)という結果となった。使いこなす難易度や、仕事で使えるクオリティでアウトプットが得られるのか、という点が重視されているようだ。
また、「コスト」(19.4%)と「セキュリティとプライバシー」(19.2%)も回答が多くなった。「セキュリティとプライバシー」については、生成AIに企業の重要情報をインプットし、情報漏洩してしまう事例や、生成AIの学習に使用されている文章や音楽、イラストなどの著作権問題などのネガティブな話題が、人々の印象に深く残っていることがうかがえる。
これらのポイントは、生成AIの業務利用の促進において障害になる要素でもあり、改善・解決されることで生成AIの利用経験や頻度の増加につながると考えられる。
生成AIの利用状況について「日常的に使っている」「ときどき使っている」と回答した人を対象に、定期的に利用している生成AIツールをたずねた。回答が多かった生成AIツールは多い順に「ChatGPT(OpenAI)」(48.4%)、「Microsoft Copilot Studio(Microsoft)」(21.6%)、「Microsoft Copilot[旧Bing チャット](Microsoft)」(19.0%)、「Gemini(旧Bard)(Google)」(15.7%)、「Google Generative AI App Builder(Google)」(13.7%)となった。
また、自社の生成AIを構築するための法人向けツール「Microsoft Copilot Studio(Microsoft)」と「Google Generative AI App Builder(Google)」の回答割合が他と比較し多いことから、企業での生成AIの導入が進んでいること、また既製生成AIツールの利用に留まらず、その技術を組み込んだ開発に取り組んでいることがうかがえる。
2023年11月から3か月間で、日本国内における生成AIツールの認知、利用は広がっていることが明らかになった。しかし、利用してみたものの、その半数以上が活用できていないという課題も見えた。業務利用で重視するポイントとして「使いやすさ」「精度・信頼性」「コスト」「セキュリティとプライバシー」を重視する人が多く、これらは業務利用の障壁となりやすい部分とも言える。
このようなポイントが改善・解決されることにより、生成AI利用の定着が期待できると考えられる。
■調査概要
・調査テーマ:AIトレンドに関する自主調査
・調査地域 :日本国内
・回答者数 :1,107名
・調査対象 :15歳以上の男女
・調査期間 :2024年2月20日~3月5日
・調査方法 :オンライン調査