東京地下鉄 (東京メトロ)は25日、社内業務のDX推進を目的とし、2024年10月下旬から、生成AIを活用した社内向けヘルプチャットシステムの導入を開始すると発表した。
本システムは、社員が業務を実施するうえで生じる不明点や疑問点に対し、RAG技術により、あらかじめ登録した社内文書情報等の外部情報から生成AIが該当情報を検索し、回答を生成して提示する機能を備えたシステム。
また、社員が社内文書情報を登録する際、本システムでは自動的に社内文書情報の構造化処理を実施。これにより、社員は効率的に文書の新規登録及び更新作業を実施することができ、容易に文書情報を最新状態で維持することが可能になる。
さらにシステムの内部では、社内文書情報の分野ごとのチャットボットと、一般的な情報に関するチャットボットの双方を構築するため、質問に対してより精度の高い回答を生成でき、スピーディーかつ効率的な業務遂行への変革を図る。
本システムの導入により、社員による業務生産性が向上し、それに伴って生み出される、デジタル技術を活用した業務変革や新たな企業価値の創出が期待できる。今後も、東京メトロでは積極的に生成AI技術を取り入れ、通常の資料作成業務やシステム・アプリの内製開発におけるコード生成業務等を効率化し、さらなる顧客サービスの向上につなげていくとしている。
1.導入システム概要
社員が業務を実施するうえで生じる不明点や疑問点に対し、生成AIが社内文書情報から該当情報を検索し、回答を生成して提示する、社内向けヘルプチャットシステム。社員が社内文書情報を登録する際、自動的に社内文書情報を構造化処理するため、社員が効率的に文書の新規登録及び更新作業を実施することができ、また容易に、文書の状態を最新で維持することができる。
2.開発経緯と一部職場での効果検証
これまで、主に社内の事務業務において、不明点や疑問点が生じた場合は、イントラネット上で閲覧できる規程類やマニュアル等を照会する、もしくは関係する部署へ問い合わせを実施する、という対応が基本となり、特に後者の問い合わせ対応には、依頼元及び依頼先の双方において、相当の時間を要するケースも多くあった。
これらの問い合わせ対応業務を効率化することを目的とし、昨年度から生成AIを活用したチャットボットを、人事や契約関係の一部の職場に導入したうえで、効果検証を実施した。生成AIによる回答精度等を評価した結果、一定の効果が認められたため、仕様等を精査したうえで、今回本システムを全社的に導入することとした。
3.生成AIサービス利用ガイドラインの策定
社員が生成AIを活用するにあたり、ハルシネーションが起こりうること等の特性を理解して活用できるよう、同社では2023年度に「生成AIサービス利用ガイドライン」を策定し、生成AIの利活用を推進していく上で必要となるガバナンスの整備を実施している。
4.当社のDX推進に関する取組み
<「DX認定事業者」の認定>
2023年5月1日に、経済産業省のDX認定制度に基づく「DX認定事業者」に認定された。DX認定制度とは、「情報処理の促進に関する法律」に基づき、デジタル技術による社会変革に対して経営者に求められる事項を取りまとめた「デジタルガバナンス・コード」 に対応し、DX推進の準備が整っていると認められた企業を国が認定する制度で、主に同社の以下の取組みが評価され、「DX認定事業者」に認定された。
・TIMA(車両情報監視・分析システム)活用による車両機器の劣化予測
・AI・ビッグデータを活用したレールの劣化分析等の状態基準保全(CBM)の導入に向けた技術開発
・リアルタイム混雑情報の提供による混雑の見える化等