“AIx量子コンピュータ”搭載のクラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」を開発・提供するグルーヴノーツは1日、量子コンピュータを活用して物流・配送業務の最適化を図る「MAGELLAN BLOCKS 物流最適化ソリューションセット」を新たに販売開始すると発表した。
個人向け宅配事業における実データを用いた効果検証では、従来に比べ配送経路を約50%削減する結果が確認されており、一人当たりの配送効率の向上やCO2排出量削減に貢献するという。
物流業界で積年の課題とされる人手不足問題や環境問題は今、新型コロナウイルスによる「新たな日常」を通じたEC販売の拡大/多頻度小口配送の急増に伴い、ますます重大な局面を迎えている。
こうした課題を解決すべく需要変動にも対応しながら業務の最適化を図るには、配送需要に応じて、「どのトラックで・誰が・どの荷物を・いつの時間帯に・どのルートで配送する」といった様々にある配送パターンの組み合わせを緻密に分析し、最も生産性の高い配送計画をすばやく作成していく必要がある。
このとき、業務上必要な条件として、配送車の積載状況や稼働状況、ドライバーのスキルや労働条件、配送地域や時間帯、届け先特有の要件、交通状況などを考慮しようとすると、その複雑さも加わって通常のコンピュータの処理性能では計算しきれない、もしくは計算誤差が大きく生じてしまうなどして適した答えを算出できず、結果的に現場の負荷を押し上げてしまっているのが現状だという。
この制約条件を満たした上で膨大な組み合わせパターンの中から最適解を見つけ出す方法は「組合せ最適化」問題と呼ばれ、積載最適化やルート最適化、シフト最適化などビジネスシーンにおいて多々存在する。
そして、組合せ最適化問題の解決に長けた唯一の実用化技術が「量子コンピュータ」だという。グルーヴノーツの「MAGELLAN BLOCKS」は、先進のテクノロジー発想と高い技術力をもとに、難しい技術を誰でもシンプルに使えることをコンセプトに開発されたクラウドプラットフォーム。高精度な荷貨量予測や貨物数予測といったAIによる数理モデルをはじめ、量子コンピュータを活用した独自の組合せ最適化モデルの開発、商用サービス化を世界で初めて実現しているという(2019年3月時点、D-Wave社調べ)。
今回の「物流最適化ソリューションセット」では、物流・配送業務に特化し開発した、量子コンピュータによる組合せ最適化モデルや業務機能をあらかじめ組み込んでいる。
そのため、量子コンピュータマシンを活用する上で難解とされる専用アルゴリズムを一から開発していく必要はなく、ユーザーは配送先やドライバー/配送車の情報を入力するだけで、現場の各種条件に基づき車両ごとの積載率を最大化して配送距離/時間が最小となるルートを自動的に高速導出する。これにより、三元率(積載率・実車率・稼働率)の向上、ルートや業務の効率化、物流コストやCO2排出量の削減など、物流生産性の向上が可能になるという。