京セラ、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)、Ristは1日、京セラ滋賀野洲工場(滋賀県野洲市)の排水処理設備において、カメラを用いた排水センシングシステムとRist独自のAI(人工知能)画像分析技術を用いて、排水処理状態をリアルタイムに自動で良否判定を行うAI自動排水監視システムを導入し、本格運用を開始すると発表した。
産業分野で使用される水は、施設内において国の定める排水基準を満たすよう適切に処理し、人と環境に与える影響を最小限に抑えなければならない。SDGsでも安全な水に関する達成目標が掲げられている。
工場などの生産施設に設置される排水処理設備は、24時間365日運転することを前提に設計されている。排水処理状態の確認は通常、一定時間ごとに作業者が目視確認を行うが、人手不足や業務効率改善の観点から自動で監視できる管理システムの開発が求められている。しかしながら、屋外の排水処理設備においては、点検する際の時間帯や気象条件などによって水面の見え方が異なるため、システムによる良否判定が難しく、作業者の経験が必要となっていた。
これらの課題を解決するため、KCCSの100%子会社で、AI技術を用いたソリューションを提供するRistでは、2019年6月に、排水の処理状態をリアルタイムで監視、AIで自動点検を行うソリューション「Deep Inspection Liquid」のサービス提供を開始した。京セラではこのサービスを活用し、2019年7月からシステムのインテグレーションを行うKCCSとともに京セラ滋賀野洲工場の排水処理設備で現場実証を重ね、このたびの本格運用に至ったという。
京セラでは、2021年12月までに京セラ滋賀野洲工場にある全ての排水処理設備にAI自動排水監視システムの展開を完了し、あわせて全国にある京セラの生産拠点への展開を図り、企業経営における業務効率改善と環境配慮の両立を目指す。また、KCCSならびにRistでは、排水処理だけでなく、「水」を取り扱うさまざまな現場に対応可能な処理監視ソリューションの研究開発を加速させ、早期の事業展開を進めていくとしている。