日立製作所(日立)は2日、電力事業者や製鉄事業者など向けに、鉄鉱石などの原料を船から荷揚げし山積み保管する、広大な原料ヤード(置き場)において、ドローンを活用して高効率な在庫管理を支援するクラウドサービスを開発、提供を開始すると発表した。
本サービスは、ドローンの空撮により現場状況をタイムリーに収集し、クラウド基盤上で蓄積、AI画像認識技術を用いて原料のパイル(山)を解析、可視化するなど、現場の在庫状況を効率的に把握し、余剰在庫の削減といった適正な在庫管理に向けてワンストップで支援するもの。
数cm単位での解像度で、パイルごとに在庫量・空きスペース・形状などの在庫情報を自動解析するほか、解析結果を業務データとして活用できる形式で出力・表示し、関係者間での円滑な情報共有も可能。広大な原料ヤードの在庫管理に要する業務負荷を軽減できるなど、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)に寄与するという。
従来、広大な原料ヤードにおける在庫管理では、熟練の現場作業員が、現地で複数のパイルを一つずつ目視で確認し、手入力で在庫情報を帳票化することや一般的な三次元測量ソフトを用いてパイルを個々に識別して計測する必要があるなど、現場の状況把握には膨大な工数を要してした。
近年、ドローンの社会実装が進み、あらゆる分野においてドローン活用による業務効率の向上が期待されている。日立は、防衛向けの無人機事業からはじまり、安全な活用・普及に向けた政策提言のほか、設備点検や物流など幅広い業種の顧客との豊富な実証を行うなど、ドローンの利活用推進に向けた活動を進めてきた。原料ヤードにおける在庫管理への応用についても、これまで、デジタルイノベーションを加速するLumadaのユースケースとして、電力・製鉄業界などのフィールドでの実証を進め、今回、本格的にサービス化を行った。
今後は、データ解析機能の拡充といったサービスの強化を図り、現場におけるさらなる作業効率や安全性の向上に貢献。また、適正な原料ヤードの在庫管理により、原料輸送のための配船計画を最適化することで、物流に伴うCO2排出量や環境負荷の低減に寄与するとしている。