日本酒スタートアップ・酒ストリートは12月30日、機械学習結果を活用し、好みの日本酒を手軽に判定できるWebサービス日本酒発見診断「酒ナビ」β版をリリースした。
東京大学大学院農学生命科学研究科・石島智子特任助教(食品機能学研究室)および阿部啓子特任教授(味覚サイエンス研究室)との共同研究により収集したデータを用い、同社が機械学習を活用して構築した判定プログラムを用いることで、精度の高い判定を可能にしているという。
判定には料理や果物、飲み物など食品の嗜好データのみを使用し、Web上で1〜2分で完結。来店や試飲、日本酒の知識は一切不要とすることで日本酒の選び方を抜本的に変え、これまで存在した日本酒購入のハードルを取り去ることを目指す。
日本酒を造る酒蔵は1400以上存在し、商品数は1万点以上にものぼると言われている。これらの商品には幅広い味わいのものが存在しているが、それぞれがどのような味わいなのか、飲む前に判別するのは専門家にとっても困難。
日本酒の分類方法として有名な「純米」「吟醸」などの「特定名称」は、使用原料や製造方法による分類であり、必ずしも味わいが判別できない。
このことが、消費者から日本酒という選択肢を遠ざける結果を招いているという指摘が近年なされるようになっているという。
参考:ダイヤモンドオンライン「『詳しい人しか飲んではいけない酒』日本酒が致命的欠陥を克服する方法」 https://diamond.jp/articles/-/289444
実際、同社が運営する酒販店でも「日本酒は、興味があっても自分では選ぶことができない」という消費者からの声を多く聞くという。
この課題を解決するため、同社は味覚に関する豊富な研究実績を保持する東京大学味覚サイエンス研究室との共同研究契約を2021年5月に締結。
まず日本酒の味わいによる分類を行うため、市販されている日本酒から、産地や特定名称といった属性において偏りの生じないように数百点のサンプルを収集。
専門性の高い資格等を保持する有識者27名による官能評価(唎き酒)結果から、これらサンプルの味わいや香りをデータ化した。
これらのデータと、各サンプルのアルコール度数などのデータを元に統計解析を行った結果、市販の日本酒を以下の12タイプに分類できた。それぞれのタイプには、味わいをイメージしやすくすることを目的として、一般的な単語だけを用いて名称を設定している。
次に、個人の食品に対する嗜好や食習慣を調査するため、東京大学 石島 智子特任助教(食品機能学研究室)、阿部 啓子特任教授(味覚サイエンス研究室)の協力を受け108問のアンケートを作成した。
消費者を対象として、このアンケートを実施するのと同時に、12タイプの日本酒を試飲し好みの度合いを回答してもらうことで、489件の嗜好データを収集することができた。
これらのデータをもととして機械学習を活用することで、一般的な食品に対する嗜好等から、好みのタイプの日本酒を高精度で判定できるロジックを構築したという。