ディープインサイトは23日、ディープラーニングを利用しエッジデバイスで動作する非接触UIの開発者向けエッジAI基本モジュールの提供を開始すると発表した。
新型コロナウイルス感染予防対策の観点から、不特定多数が利用する端末を非接触で操作するユーザーインターフェイス(UI)を効率的に開発できる技術が求められており、安価なデバイスでも動作するディープインサイト独自のエッジAI技術と組み合わせて、タッチレスエコノミー時代への対応に貢献するという。
ディープインサイトが開発した非接触UIのエッジAI基本モジュールは、Raspberry Piのような小型デバイスと標準カメラの安価な構成で、撮影している人の指先をリアルタイムに検知し、ピンチ動作(つまむ)によりポインター操作や情報入力の非接触UI機能を端末アプリケーションに簡単に組み込めるディープラーニングの画像認識モデルを含むソフトウエア開発キット(SDK)。Windows環境にも対応する。
従来、エッジデバイス上のAI開発は、機械学習全般の課題である膨大な学習用画像データの収集や整理以外にも、小型デバイスで性能を引き出す実装技術・オープンソースのディープラーニングフレームワークを使いこなすまでの教育コスト・品質サポートの曖昧さなどの課題が指摘されている。
今回、ディープインサイトは、これらの課題を低減し非接触UIデバイスの開発効率を向上させる為、膨大な指の画像の収集や指先動作を認識する画像認識モデルを開発。それを利用した基本モジュールはRaspberry Piに最適化されたAI推論エンジンと指の動作判定ライブラリーで構成され、シンプルなAPIにより端末アプリに非接触UI機能を簡単に組み込める。また、デモアプリケーションとして指先位置を認識し、ポインターの操作により非接触の情報入力を行えるアプリケーションやソフトの基本構造を理解するためのサンプルソースコードも提供する。
従来は困難だった安価なエッジデバイスでリアルタイムにAI機能が動作し、快適にポインターやマウスカーソルの非接触操作を実現する事は、普及率の向上やユーザーエクスペリエンス(UX)の観点から非常に重要な要素で、エッジAI技術の有益な適用例になるという。
今回開発したエッジAI基本モジュールとデモアプリケーションは、同時に提供を開始するエッジAI開発に特化したエンベデッドディープラーニングフレームワーク「KAIBER Lite」に同梱されます。「KAIBER Lite」で新たに学習すれば手袋など特殊なシーンの対応や画像認識モデルのカスタマイズも可能。