オプテージは11日、山陽電気鉄道、山電情報センターとともに、踏切横断における安全性強化を目的に、監視カメラによる遠隔監視およびAI画像解析技術の活用による踏切遮断中の異常検知に向けた実フィールドでの実証実験を8月上旬から開始したと発表した。
本実証実験では、オプテージのAI技術や通信技術、Web技術を活用し、山陽電車の踏切の「人」の往来の映像をリアルタイムに解析する。危険を察知した際には、エッジデバイスから信号を送出し、特殊信号発光機(停止信号)を発光させることで、接近する列車の運転士への通知を行い、列車を安全に停止させることで、踏切における人身事故の抑制を図る。また、並行して運転指令室に危険の通知を行う仕組みを検証し、2021年春の本格運用の開始を目指すという。
今回の実証では、従来の障害検知システムでは検知できなかった、歩行者やベビーカー、車いすといった「人」を検知できるようAIを活用した画像解析による実地検証を行う。また、画像解析で課題となる雨天時や夜間についても精度が保てるかなど、実フィールド環境での有効性を検証する。なお、検証にあたっては、同分野での実績を保有するK4Digitalの協力のもと実施する。
内閣府の「交通安全白書」によりると、鉄道交通の運転事故は長期的には減少傾向であるものの、2018年中の踏切における事故発生件数は247件と依然として多く発生している。事故内容としては、自動車との接触が38.5%、歩行者および自転車等の人との接触が55.5%と、事故の半数以上が「人」との接触となっている。
山陽電車では、「安全・安心」を最優先事項として、鉄道および索道の安全を確立するため、積極的に安全性の強化・改善を行っており、すべての踏切への非常ボタンの設置、自動車が通行する全踏切(138カ所)の障害物検知装置の設置、警報機の遮断動作時間の延長や障害物検知装置の高性能化など、踏切横断時の安全対策についてソフトとハードの両面から重点的に取り組んできた。
今回、さらなる安全性強化策として、オプテージが持つAI技術を活用した画像解析技術を用いて、踏切内に取り残された「人」を自動で検知する実証実験について、今春より機器構成の検討や検証準備を3社で進め、このたび実フィールドでの実証実験を開始するにいたったという。