キリンホールディングスは5日、HR TechスタートアップのZENKIGEN(ゼンキゲン)と共同で、2022年卒の新卒採用において「エントリー動画選考でのAI活用の実証実験」を実施すると発表した。あくまで実証実験であり、2022年卒新卒採用での選考過程において解析結果を合否判定に利用するものではないという。
直近の採用市場は、コロナ禍によりオンライン選考が主流になるなど大きく変化しており、これまでのように評価者の技量や経験則による人材の見極めが困難になりつつある。また、今後もオンライン選考が主流となる中、就職活動の幅の広がりによる応募者数の増加が見込まれ、企業にとってはこれまで以上に人材の見極めにおいて時間と人手を要することが予想されることから、デジタルテクノロジーを活用した業務プロセスの見直しの必要性が高まっている。
今回の取り組みでは、ZENKIGENが提供する採用DXサービス「harutaka」の動画解析AI「harutakaエントリーファインダー」を活用して、同社の2022年卒の新卒採用に応募した人のエントリー動画を解析する。エントリー動画での応募者の顔の表情や声などをAIによって定量化し、指標の一つとすることで、評価のブレを減らすことによる評価精度の向上を検証する。
今回検証するAI活用の取り組みによって従来と比べてエントリーシートおよびエントリー動画選考にかける時間を約3割削減し、創出された時間で応募者一人ひとりに対する選考時間を増やす他、交流会やセミナー・面談など、双方向のコミュニケーション機会の新たな創出を目指すとともに、選考機会の拡大にもつなげていくという。
キリングループは、2019年に長期経営構想である「キリングループ・ビジョン2027」を策定し、その中の「イノベーションを実現する組織能力」の1つとして「価値創造を加速するICT」を掲げている。
採用活動においても、本実証実験をはじめとするDXの取り組み推進を通じて応募者と企業のコミュニケーションを一層充実させ、相互の理解度と満足度を高めることでより良い就職活動の場を提供していくとしている。