AGRIST(アグリスト)は27日、収穫の労働力不足の課題解決する吊り下げ式ピーマン自動収穫ロボット「L」に最適化された、自社の試験場も兼ねたビニールハウス(アグリストファーム)を建設、内覧および自動収穫ロボット「L」の実演をアグリストファームにて完全予約制で行うと発表した。また、自動収穫ロボット「L」の一般予約の受付を同社ホームページで開始した。
同社はアグリストファームでの自動収穫ロボットのデータ解析による改善を行い、収穫率の向上及びピーマン生産者の技術と経験の一部をテクノロジーで再現することを目指すという。
AGRISTはテクノロジーで農業課題を解決するベンチャー企業。農業の収穫の労働力不足の課題を解決するロボットを農業が盛んな宮崎県新富町で農家と一緒に開発をしている。
農家の声を一番近いところで聞き、「収穫ロボットが必要だ」という声を反映させ生まれたのが、自動収穫ロボット「L」。高齢化により収穫の労働力不足が要因で収益率が下がるという農業課題に対して、構造も機能もシンプルにすることで低価格での提供を実現し、取りこぼしや木の弱体化を軽減することで収穫量と農業所得の向上を目指して開発したという。
実際の農場での利用を考え、ピーマンの肩から出る果柄の長さが0.5mm以下かつ実が傷つかない状態で収穫できる精度を93%以上に改善し、出荷までの手間を省けるように収穫ハンドを改良。さらに、理想環境下で28秒で1つのピーマンを収穫できる速度まで向上し、180度の方向転換が可能になったため収穫できる範囲が2倍に拡大した。
1度の充電で4時間稼働ができるバッテリーを搭載(バッテリー交換で1日8時間の稼働)し、設置の負担軽減のため重量を16kgに抑えている。また、ピーマン樹木への傷を防ぐため、ロボットにカバーを取り付けた。
自動収穫ロボット「L 」の特長
1.吊り下げ式移動
ハウス内に設置したワイヤー上を移動する。従来の開発されていた農業用ロボットは、地面を走行するモデルが多くを占めていたがワイヤー上を移動することで地面にレールを引く必要がなく、初期工事の簡素化ができる。さらに、ぬかるみや落ち葉などの障害物でロボットが動かなくなるといった問題も解消している。
2.独自機構の収穫ハンド
従来の農場で収穫後におこなっていた余分な茎を切り取る作業を、収穫作業と同時にロボットが自動で行う。
※PCT国際特許を出願し、新規性・進歩性有りという評価を受けている。
3.データ収集
様々な状態のピーマンの画像データを収集・蓄積することで、将来的にAIがデータを分析し、病害への警告や収穫量の予測などを行うサービスの提供を目指している。(2022年3月予定)
ピーマンの自動収穫ロボット「L」の概要
名称: ピーマンの自動収穫ロボット「L」
利用開始時期:2022年10月より順次納入予定
導入費:150万円(仮、3年間のレンタル契約を想定)
手数料:ロボット収穫分の売上10%
サイズ: 縦106cm×横76cm×幅29cm 重量16kg
連続稼働時間:1回のバッテリー充電で4時間(1日あたり8時間の稼働を想定)