富士通とマサチューセッツ工科大学 Center for Brains, Minds and Machines(CBMM)は9日、学習時と傾向の大きく異なる未知(out-of-distribution、OOD)のデータに対しても、AIが高い認識精度を示す技術を共同で開発したと発表した。
近年、AIはディープニューラルネットワーク(DNN)の登場により、製造業における不良品検知や医療における画像診断など幅広いシーンで応用され始め、人と同等以上の性能を発揮する一方で、学習時には想定していなかった照明や視点などの環境や条件の変化により見え方に大きな違いが生じると、認識精度が大幅に低下するという課題がある。
今回、両者は、人の認知特性と脳の構造に着想を得て、DNNを形や色などの属性ごとのモジュールに分割して学習させることで、AIがOODデータを高精度に認識する技術を開発した。本技術を適用したAIを、画像認識精度を測る標準ベンチマーク「CLEVR-CoGenT」で評価した結果、世界一の精度を達成したという。
今後、本技術の活用により、様々な観測条件の変化に対応できる交通監視AIや、多種多様な病変を正しく認識できる画像診断AIなどの実現が期待される。