富士通と国立大学法人東京医科歯科大学は7日、富士通が開発した現場のデータから新たな発見の手掛かりを提示する技術「発見するAI」をスーパーコンピュータ「富岳」上に実装し、従来は実行困難であった2万変数のデータを一日以内で超高速計算することが可能で、1000兆通りの可能性から未知の因果を発見できる技術を開発したち発表した。
両者が、がん医療と創薬の現場課題である抗がん剤の薬剤耐性を分析するために、がんの細胞株から得られた遺伝子発現量データに本技術を適用した結果、これまでの研究成果では知られていない、肺がん治療薬の耐性の原因を示唆する遺伝子の新たな因果メカニズムを抽出することに成功した。これにより、患者一人ひとりに対応した効果的な抗がん剤創薬の実現に向けて本技術の活用が期待できるという。
両者は今後、さらに時間軸や位置データなどの多くのデータを組み合わせた多層的、総合的な分析を実施し、薬効メカニズムやがんの起源の解明などの重要課題における発見の手掛かりを提示する研究を加速するとともに、医療や創薬分野だけでなく、複雑に交錯する因子を発見して意思決定を行うようなマーケティングやシステム運用、生産現場など、活用分野の拡大に取り組んでいくとしている。