営業社員への実地OJTの全自動化を目指すサルエドは16日、AI上司「サルトル」の主要機能の一つとなる「商談有望度判定」の受託開発業務を開始した。
この機能は面談での双方のやり取りと相手の反応を踏まえて「成約」の可能性を判定し、レベル・スコアで表示する。
判定対象には既存顧客はもちろんのこと、新規顧客が含まれる。後者は見込客であり、その「有望度」を見極められることになる。いわゆる「リード」の育成・検定を判断するうえで役立つという。検定はMA(マーケティング・オートメーション)でよく使われる言葉であり、「選別」と言い換えられる。
面談での表情や態度、そして言葉などに購買・発注の意欲や意思が表れる相手ばかりと限らない。この機能は判定の前提として、社員が気づけない些細な手がかりを感知する。「結果がすべて」という営業の仕事では相手の有望度に応じ、力の入れ具合を柔軟に変えなければならない。顧客や案件によっては面談の準備が大ごとになり、上司の立ち合いも必要になる。
この機能で一定の感触や手応えを得たうえで、それ以降の対応を決められる。
「商談有望度判定」の機能の特徴として、非効率な新規開拓を一変させる効果を発揮する。闇雲に頑張るのでは通常営業に追われる社員は疲弊が深まる。営業が「望み薄」の相手を追いかける徒労から解き放たれ、新規開拓につきものの無駄足や空振りを大幅に減らせる。
パンデミック以降は顧客が接触を嫌い、「会わない新規開拓」を定着させることが喫緊の営業課題となっている。この機能はその課題解決に寄与し、収益・業績やシェア・地位の向上を担保する。
いまや習慣性の客回りに代表される通常営業はなるべくウェブで済ませようとする傾向が強くなった。顧客が目の前にいないオンライン商談でも威力を発揮する。
社員の楽観的なバイアスを取り除き、面談でのやり取りの深さ、中身の濃さ、顧客の積極性などを加味して判定し、科学的な根拠に基づいた成約可能性を弾き出す。
この機能は面談の内容が乏しいと「判定不能」を表示する。重視すべきは社員が有望な見込客をつくること。面談の価値を充実させられるならば相手の期待値が上がり、見込客の数が増え、質が高まる。
「商談有望度判定」は成果創出に最重要となるアドバイスも与える。
この機能は、言葉解析による商談サマリーを参照しながら、専用辞書を格納したエキスパートシステムで判定するほか、求められる判定精度によっては表情解析や音声解析による診断を加味することも検討する。
インサイドセールスで用いるパソコンのほか、フィールドセールスで用いるタブレットやスマートフォンに装着する。
なお、同社がAI上司と並行して開発を進めるIT上司「ニーチェ」は先々の収益形成や年度末の予算達成の予測を得意としているが、「商談有望度判定」と組み合わせることで精度が高まる。
とくにソリューション系の営業活動、なかでも商談の期間が長く金額が大きい案件ほど正確になる傾向があるという。