フォトラクション、建設業特化AIにより55%の作業時間削減を実現

建築・土木の生産支援クラウド「Photoruction(フォトラクション)」の開発および運営を行うフォトラクションは16日、工事現場における配筋検査の準備(黒板作成や必要図面の整理)プロセスを55%削減する建設業特化AIを開発したと発表した。今後は建設業特化 AIにオペレーターを組み合わせた建設BPOサービスの展開を加速し、建設業界における人手不足の解決を目指していく。

フォトラクションが開発した建設業特化AIは、大規模建築を中心とした設計図面の解析を得意としている。通り芯や寸法線などをはじめ、非定型な書式である設計図面から記載されている情報を自動的に抽出することが可能。この建設業特化AIをサービス化して提供するために、配筋検査の準備プロセスにおける必要な情報抽出に特化して開発を進めてきた。

配筋検査は主に鉄筋コンクリート造の躯体工事において、コンクリートを打つ前に組み上げる鉄筋の配置が適切に行われているかを確認すること。検査の前には、現場で活用する書類や工事黒板(工事現場では頻繁に使われる手持ちサイズの黒板)の準備が必要であり、従来であれば設計図面から鉄筋コンクリートに関する部材符号を抽出して、活用する工事黒板、そして検査するチェック項目を人の目で照合して作成する必要があった。

これらの作業は650㎡の建物だと1フロアあたり10〜13時間という多大な時間がかかっている。建設業特化AIは設計図面から検査の対象となる配筋情報と、部材の位置を抽出し照合することで、工事黒板への転記や最終的に使う書類の作成までを自動的に実施することが可能。これにより、配筋検査の準備作業のプロセスを55%削減することに成功し、1フロアあたり5〜6時間程度で作業が完了することを実現した。

フォトラクションは工事写真や図面などの管理を効率化するクラウドサービスと、クラウドを通じて建設会社のデスクワークなどの業務代行を行う建設BPOサービスを組み合わせ、建築・土木の生産支援クラウド「Photoruction」として提供している。

今回開発した建設業特化AIを建設BPOサービスに組み込むことで、従来型のBPOと比較して低コストかつ速い納品スピードによるサービス提供を可能にしていくという。配筋検査の準備プロセスは、全国で新しく発生する年間50万件を超える建設プロジェクトで実施されている業務であり、1年間でおおよそ100万時間を超える時間が費やされていると予測される。そのため建設BPOサービスを活用することで、産業全体において大幅な効率化を見込むことができ、生産性向上のインパクトは非常に大きいという。

建設業特化AIは配筋検査の準備プロセス以外に、図面を比較して異なる箇所の抽出作業を60%減、特定書類の仕分けの作業時間を44%減など、様々なシーンで発生する作業時間の短縮に成功している。これらも建設BPOサービスとして建設業特化AIを提供し、Photoructionというセキュアなクラウド環境かつ企業毎にAI学習させることで、削減率はさらに向上していく。今後は建設業特化AIの開発を更に加速させるのと合わせて、Photoructionの活用幅を広げていくことで業務の効率化のみならず、建設業界における一人当たりの実質労働時間を増やすという、新しい生産性向上サイクルの実現を目指すという。

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