大日本印刷(DNP)は30日、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の一環として、国内外のDNPグループ約3万人が生成AI(Generative AI)を業務で利用できる環境と体制を構築し、5月31日に運用を開始すると発表した。
DNPは、日本マイクロソフトが提供する「Azure OpenAI Service」上でChatGPTを利用することで、社内で使用したデータを自社内に留め、情報漏えいを防ぐ高セキュリティな環境で運用する。
文章や画像等を対話形式で自動生成するAIは急激に進化しており、仕事や暮らしを大きく変えると言われている。そうした状況に対してDNPは、DX推進の一環として生成AIを業務に積極的に活用し、新しい価値の創出を加速させていく。
DNPが進めるDXは、事業ビジョンである「P&Iイノベーション」に基づき、印刷と情報(Printing & Information)の独自の強みを掛け合わせ、「事業の推進」と「基盤の強化」によって新しい価値を創出することだと位置づけている。今回DNPは、生成AIの運用開始によって、「基盤の強化」をさらに推進するとともに、今後は「事業の推進」にも展開して、生活者や企業等に新しい価値を開発・提供していくという。
対象となる国内外のDNPグループ社員は、イントラネットでアクセスすることで、いつでも生成AIを業務で活用することができる。技術・営業・企画・製造など、さまざまな部門や職種の社員が積極的かつ効率的に活用できるよう、社員向けの相談窓口の設置や社内勉強会の実施なども行っていく。
これまでも、最大限にAIを活かすため、適切な質問や指示(プロンプト)を作成し、AIから得られる回答や提案の品質を向上させる「プロンプトエンジニアリング」や、生成AIを活用したサービスの可能性などをテーマに200名以上が参加した「社内研修」、アイデア・サービス創出のための「ハッカソン」などを実施しており、今後も継続していく。
DNPは、多様な強みを持った社員全員が新しい価値創出の源泉であると位置づけて、人的資本の強化に向けた「人への投資」を加速させていく。その中で、専門的な強みを持ったICT人材・DX人材の強化にも注力している。
そうした中で生成AIについては、社内での利用から開始し、その後は社外に向けた事業としても活用していく。2023年度にスタートした新中期経営計画で、「注力事業領域」の一つに位置付けた「コンテンツ・XRコミュニケーション関連事業」をはじめ、さまざまな事業領域で生成AIの活用を促進する。最先端の生成AIを活かしたDNP独自の次世代コミュニケーション支援技術の開発などを通じて、生活者や企業・団体等に新しい価値を提供していく。