リスク計測テクノロジーズ (RimTech)は4日、PLEN Roboticと提携し、約5秒間の会話音声を解析しメンタルヘルスを把握する「Care Cube(ケアキューブ)」を製品化すると発表した。
日本におけるうつ病の患者数は急激に増加し、現在約127万人いると推定されている。これは過去20年間で約4倍の数。うつ病による日本の社会的損失額は約3兆円、さらに統合失調症と不安障害を合計すると約8兆円と推定されるという。メンタルのヘルスチェックは体の健康と合わせて、個人のみならず職場や社会全体にとって重要な課題といえる。
今日「労働安全衛生法」により従業員にはメンタルヘルスのチェックが義務付けられているものの、従来のアンケート式の調査では、精神的ストレスを抱えていても「大丈夫です」と回答してしまったり、本人の自覚のないケースもあり、ストレスに関するトラブルの早期発見は困難。
PLEN RoboticsとRimTechは、2021年に業務提携して以来、本製品の開発を進めてきた。同年、神奈川県新型コロナウイルス感染症対策ロボット実装事業の一貫として湘南鎌倉総合病院で医療従事者向けのサービスプロトタイプの概念実証を行った。さらに2022年、神奈川県新型コロナウイルス感染症対策ロボット開発支援事業の一貫として小田原市鴨宮ケアセンターでアップデート版の機能性の実証を行い、改良を重ね、「Care Cube」として完成させた。
■サービス概要
「Care Cube」は、PLEN Roboticsが開発した顔認証AIアシスタント「PLEN Cube」と、RimTechが開発した音声解析エンジン「Motivel」によって構成される。
「Care Cube」はメンタルヘルスチェック対象者の顔を見つけると、声かけをする。そして約5秒間の会話をするだけで音声を解析し、心の健康状態をグラフで表示する。測定結果は音声とアプリケーション上のグラフィック表示でフィードバックされる。また日々のメンタルヘルスチェックを継続することで、「Care Cube」はストレスに起因するトラブルを2週間程度前に予測が可能となる。
特徴
1.声帯の震えから得られる客観的なデータ
これまでストレスの度合いは、自記式アンケートという主観データにより判断されてきた。「Care Cube」は音声から不随意筋である声帯の震えという客観データを検出し、機械学習により喜び・悲しみ・怒り・恐れなど、8つの感情指標を数値化し、ストレスの度合いを数値化する。
2.わずか5秒の会話で測定
心の状態の可視化には様々なアプローチがあるが、計測に要する時間は、数十秒程度要するのが通常。「Care Cube」は音声データの特徴量把握のため独自のアルゴリズムを開発し、僅か5秒の音声データに基づき計測を行う。
3.インターフェイスとしてのAI搭載カメラ端末
「Care Cube」は、人とのインターフェイスに、エッジAI搭載カメラ端末「PLEN Cube」を使用している。顔を近づけると自動的にプログラムが起動するため、スマートフォンやパソコン用のアプリケーションに比較して、誰でも操作がしやすいものとなっている。また通常のIT機器に搭載されるマイクと異なる単一指向性マイクの利用により、騒音環境下でも音声を的確に把握できるよう工夫した。
「Care Cube」
「Care Cube」Youtube動画