分析AIツール「YOSHINA」を提供するレトリバは5日、派生サービスである「YOSHINAリサーチ」を用いて全国の経営者2757名にChatGPTをはじめとする生成系AIについて調査を行い、その結果を発表した。
それによると、生成系AIを認知している経営者は約65%で前回調査時よりも認知度が35ポイント上昇し、実際に活用している経営者も15%と前回調査時より6.6ポイント上昇した。
この認知度の大幅向上には、各種メディアがChatGPTをはじめとする生成系AIを連日のように取り上げて注目を集めていることや、身近にある様々なサービスが生成系AIの実装を発表していることなどが少なからず影響していると考えられる。
活用度は1.8倍に上昇した。これは、認知度の上昇に伴い、様々な活用の方法が試されるようになったことで、ユーザーが各々の目的に沿った活用をするようになったと考えられる。 ただし、活用度は認知度ほどの大幅向上にはならなかった。「不正確な情報をあたかも真実のように出力する点は問題だ」というような意見も得られ、生成系AIの利便性が世間に広まるとともに、機密情報の漏洩や生成された内容に虚偽のものが含まれていたことなど、ネガティブなニュースが報道されていることもあり、実務に活用するとなるとまだハードルが高い印象があると考えられる。
前回の調査では、生成系AIを「調べものをする際に活用」が40%を占めていたが、今回の調査では31%とやや減少傾向だった。代わりに「文書の作成に活用」などクリエイティブな部分に活用する意見が52.1%と大幅に増加しており、調べもの以外での活用が増えている。
生成系AIに関する経営者の知見が高まるにつれ、「調べもの」では情報の正確性に不安が残ることにより利用率が減少し、一方で、最終校正を自身で行えるクリエイティブ業務では活用できると判断した経営者が多かったようだ。 また、「個人として利用」「仕事・業務では使わない」という回答も複数見られたことで、ビジネスでの取り扱いについては慎重になっている様子がうかがえた。
ビジネスに与える影響については「わからない」という意見が前回(前回調査時は「わからない」という回答が約半数)と変わらず多く見られた。 その他の意見としては、「良い影響」「業務の効率化」などのポジティブなものがある一方で、「悪い影響」「仕事が減る」などのネガティブな意見も少なからず見られた。また、その他の意見の中には「不安」「脅威」「怖い」など、予測できないリスクに対して懸念する声も目立った。
生成系AIを活用している経営者がまだ多くなく、どのような影響があるのか見えない部分が多くあることもネガティブな意見が出てきた要因と考えられる。
「精度」や「正確性」など生成された結果についての信頼性の改善に関する意見が最も多く27.4%となり、その他では「セキュリティ対策」や「著作権対策」などの法整備を求める意見があった。
「セキュリティ対策」や「著作権対策」を求める意見から、機密情報の取り扱いや著作権の問題などビジネスで安心して活用するために必要な要件やルール作りが求められている状況がうかがえる。