産総研、ロボット実験とAIによりセラミックス化学焼結プロセスの条件探索を高速化

産業技術総合研究所(産総研)は18日、同研究所極限機能材料研究部門 固体イオニクス材料グループの山口祐貴 主任研究員、中山 麗 産総研特別研究員が、ロボットによるハイスループット自動実験と機械学習などの人工知能(AI)を用いて、100 ℃以下で複合酸化物ナノ結晶粉末原料を合成し、さらに機能性セラミックス固体を化学焼結プロセスで製造できる条件を短時間で探索する技術を開発したと発表した。

セラミックス固体を製造するには、一般的に1000 ℃を超える高温での焼結が必要。産総研は、原料間の化学反応を利用して、100 ℃以下の低温で複合酸化物からなるセラミックス固体を「焼かずに」製造する研究開発を行っている。しかし、手作業での低温製造には時間がかかるため、「焼かずに」製造できる複合酸化物は数種類しか発見できていなかった。

粉体秤量(ひょうりょう)の自動化装置と人協働ロボットを活用することにより、短時間で多くの低温製造実験が行えるようになった。また、得られた大量のデータを用いて、材料組成や合成温度などの最適条件をAIに予測させた結果、数十種類の複合酸化物セラミックス固体が化学焼結プロセスで製造できることを見いだした。化学焼結プロセスは、外部から圧力をかけなくても、高い結晶性を有する複合酸化物が得られることが特徴。製造温度の飛躍的な低減によって、機能性セラミックス固体の製造時におけるCO2排出量の削減に貢献する。

なお、この技術の詳細は、2023年10月20日に産総研中部センター「未来モビリティ材料 共創フェア」で発表予定。

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