エクサウィザーズ、第一生命がAI開発環境 「exaBase Studio」を採用

エクサウィザーズは1日、第一生命保険に、AIソフトウェアの開発環境「exaBase Studio」の提供を開始したことを発表した。

第一生命はexaBase Studioを活用し、ChatGPT等の生成AIの安全かつ効率的な利活用のための「AI活用プラットフォーム」の構築に取り組み、約50%の開発効率向上を見込む。なおexaBase Studioは2023年度中の一般向けリリースを予定しており、顧客事例を公表するのは今回が初だという。

exaBase Studioは、社内外のAIモデルやサービス、データを組み合わせて、AIソフトウェアを構築できる開発環境。キャンバスと呼ぶ直感的にわかりやすい設計・開発用のUI(ユーザーインターフェース)を活用して処理を可視化し、エンジニア以外に、経営者や業務をよく知る社内外の人材を巻き込んだオープンな設計や更新が容易となる。開発の煩雑な手順を半自動化する仕組みを搭載しており、開発のプロセスが大きく変わる。「動くものを触りながら改善する」というアジャイル型での内製開発を支援する。

ChatGPTをはじめとした生成AIは多くの課題解決に効果を発揮するため、第一生命ではその安全かつ効率的な活用環境を整備することを重要な経営課題として捉えている。一方で生成AIは利便性をもたらすと同時に、秘密情報・個人情報の漏えいや、誤りを含む情報を提示する事象(ハルシネーション)を引き起こす懸念がある。

こうした背景から第一生命は、AI利用に関するリスクコントロールを図りながら、AI開発における俊敏性・迅速性を高める仕組みを構築することで、生成AIを幅広い業務へ適用する体制作りを進めることとした。

第一生命は、exaBase Studioを活用することで構築するAI活用プラットフォームを用いて、以下のようなAIアプリケーションの開発、実証に取り組んでいる。2024年初頭から同年内をかけて、社内への展開を始める予定。exaBase Studioが提供する、ローコードの開発・運用環境の活用により、約50%の開発生産性の向上を見込んでいる。

・レポート作成:社員の設定した内容に基づいて、社内の各種のデータソース(データベース、Excelなど)に保持されている情報と、インターネット上にある外部の情報を統合し、生成AIが社員の様々な活動に必要となるレポートを自動で作成する。例えば、重要顧客の訪問前に情報を得ておき、商談の確度を向上させるといったことを想定している。
・書類のひな型生成:社員が行政など外部に提出するドキュメント(申請書類等)の種類を指定すると、生成AIが各種法令や社内のガイドライン、過去の書類などをもとにしてチェックを行い、ひな型となる文書を提案。日々の業務の自動化を推進する。

AIアプリケーションを構築するうえで重要となるのが、独自のAIモデルの活用や社内データとのセキュアな接続や連携。AI活用プラットフォームを利用することで、必要なAIモデルや社内データとの接続を直感的なUIで選択・設定できる。社内外や国内外の適切なAIモデルと連携させるためのハブとしても機能させていく考え。

生産性の向上だけでなく、懸念される機密情報の漏洩への対策としてプロンプトや生成内容の監査やログ管理の機能を装備している。これらの機能をexaBase Studioでは「テンプレート」として複数用意しており、利用ログや入出力データの記録、AIによる間違った回答である「ハルシネーション」のチェックといった機能を新たに開発する必要がない。

exaBase Studioは、以下のような機能を備えており、システムやサービスとしての運用や機能の追加・修正も容易。

(1)複雑な実行環境もクラウド上に自動構築、すぐに利用可能
設計したAIモデル、ソフトウェア、UIなどを実行環境上に設定し、アプリケーションとして各種のクラウドサービス上に自動でデプロイ(実行環境の展開)することが可能。性能や安定性、セキュリティなどを考慮したインフラの上で利用でき、日々の業務や運用に必要なUIなども設定される。

(2)エクサウィザーズのAIモデルやテンプレート群を提供
exaBase Studioでは、エクサウィザーズが蓄積するAIモデル群やテンプレートの活用が可能。生成AI関連のテンプレートは「生成AIサービスライブラリ」として拡充して提供していく予定。なお、仕様の違いを吸収するコンテナ技術にも対応しており、言語やライブラリの選択の自由度が高い開発が行なえる。

生成AIサービスライブラリなどexaBase Studioの最新情報

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