太陽生命保険とNTTコミュニケーションズ (NTT Com)の2社は30日、2024年1月~3月にかけて、生成AIを活用したDe-Identification Ltd.社(D-ID社)のAIアバターによる生命保険募集の実証実験を実施したと発表した。
太陽生命とNTT Comは共同で、最新技術を活用した新たな営業手法の実現を目的として、生成AIを活用したアバターによる生命保険募集において、下記の実証実験を実施した。
・D-ID社のアバターを用いたAIアバターの外観や動作の評価
・大規模言語モデルによるシナリオを組み込んだ対話内容の評価
本実証実験は3カ月間にわたり、下記の観点において検証を実施した。
(1)生成AIによる対話精度の検証
生成AIを活用することで、顧客と生命保険募集に関する会話応対を実施できるか、また募集に必要となる情報を収集できるか検証を行った。具体的には、保険営業における対話シナリオやFAQを作成し、生成AIのプロンプトに組み込んで営業現場での対話(主に情報収集プロセスやニーズ喚起)を想定した対話モデルを構築した。そして、提案内容を作成するにあたり対話モデルが必須事項をヒアリングできたか、対話の精度、応答速度などにつき評価を実施。その結果、将来の商用利用を想定した、より具体的な検討に進めるとの結論に至った。
(2)生成AIによるアバターイメージの検証
AIアバターが人間の様に動作し、顧客に対して自然かつ印象良く発話、応対ができるか検証を行った。具体的にはD-ID社の生成AI(『Creative Reality Studio』)を活用し、実在の社員を元にした動画アバターを生成、外観や動作などを評価した。その結果、人間としての自然な動作、応答速度などにおいて、実業務における顧客接点として本アバターを活用できる可能性があるとの結論に至った。
今回の検証においては、最新技術を活用した新たな営業手法の実現に向けて一定の成果は得られたものの、AIアバターの反応速度や悪意のある問いかけに対する反応、ハルシネーションなどの対策についてはさらなる検討が必要であるとの結論に至った。
太陽生命は、本実証実験の結果を踏まえ、引き続き最新技術を活用した新たな営業手法を検討していく予定だという。
NTT Comは、「共創」を実現するパートナーとのネットワーク、そしてAI技術を活用し、太陽生命の検討を引き続き支援しいく。NTTグループが推進する大規模言語モデル「tsuzumi」の活用も視野に入れながら、顧客の事業拡大に貢献するとしている。