エクサウィザーズは24日、兵庫県が同社の生成AIサービスを採用したことを発表した。
兵庫県において、入出力情報のセキュリティやコンプライアンス、利用状況の管理などの機能を充実させた同社の「exaBase 生成AI powered by GPT-4(exaBase 生成AI)」の採用が決まり、当面100人程度を対象として試験的に導入した。
エクサウィザーズはAIの利活用によりサービスやプロダクトを提供し、それらを通じて生産性向上や社会課題の解決を目指している。exaBase 生成AIの公共機関への提供もその一環。企業におけるベストプラクティスを取り入れながら、業務効率化や政策立案への活用支援、職員向けの生成AI活用の研修サービスなど、公共機関への多面的な支援を行っていくという。
2023年4月28日付で兵庫県は全職員に、米オープンAIの生成AIサービス「ChatGPT」の適切な利用に向けて、必要となるセキュリティの設定や利用の留意点などを周知した。その後「ChatGPT等生成AI活用検討プロジェクトチーム」を設置し、同年5月15日に初会合を開催。(1)県行政での具体的な活用策(2)留意すべき課題への対応(3)市町との連携による広域的な対応等、について検討を進めるとともに、業務での活用の実証を実施することとした。その成果をもとに23年秋ごろを目途にガイドラインを取りまとめる予定。
こうした背景から、兵庫県は職員が活用の実証を行うための庁内における利用環境の整備を検討してきた。同社のexaBase 生成AIを用いた研修や、その後のトライアル利用を通して、安心して利用できるセキュリティやコンプライアンスへの対応がとられていること、管理者側で入出力の情報や利用状況の把握や管理が容易であることを確認し、exaBase 生成AIの採用を決定。当面100人程度を対象として試験的に導入した。
□ChatGPT等生成AI活用検討プロジェクトチームの活動
(1)生成AI活用の検討状況
兵庫県が職員から生成AIの活用策についてアイデアを募ったところ、行政運営の効率化、社会課題の解決、住民サービスの向上などの観点からアイデア(下図参照)が寄せられた。現在、一部業務での実証を行いながらガイドラインの検討を進めている。
(2)兵庫県で「ChatGPT活用研修」を実施
若手職員を対象に「ChatGPT活用研修」を23年6月5日に実施した。県のChatGPT等生成AI活用検討プロジェクトチームのアドバイザーを務める同社の大植択真常務取締役が講師を務めた。庁内における生成AIの活用をリードする人材の育成を目的として、プロジェクトチームのメンバー22人、各部総務課若手職員等16人の合計38人が参加。生成AIの基礎知識や利用上の注意点、プロンプトエンジニアリングの基礎について講義した後、演習として各自が業務で活用できそうなプロンプトを実践した。
演習では、研修用のアカウントで実際にexaBase 生成AIを利用して、「「ゆるキャラ」のアイデア創出」「県予算記者発表資料の要約」「法改正に対応する施策のアイデア出し」「国土交通省が出している1000ページ以上の要領のPDFの内容を質問」など、政策に関連したプロンプトを参加者が考案して実行した。