アグリショット、AIとIoTを活用した次世代型病害虫予測システムのプロジェクト始動

アグリショットは21日、和歌山県が主催する「令和6年度先駆的産業技術支援事業」において、果樹栽培向け病害虫発生予測システムの開発・実証プロジェクトに採択と発表した。

本プロジェクトを通じて、果樹栽培において課題となっている病害虫の効率的な防除達成に向けて、最先端のAI・IoT技術を活用した病害虫の発生予測や、必要最小限の農薬散布で効果的に防除できるシステムの実用化を目指すという。

現代社会では、環境意識の世界的な高まりに対応しながら、社会課題の解決と事業成長の両立が求められている。EUは「Farm to Fork戦略」で2030年までに農薬使用量を50%削減する目標を掲げており、環境配慮型農業へのシフトはグローバル市場での急務となっている。

日本でも、農産物輸出額10兆円の目標達成に向けて、国際認証基準に適合した持続可能な農業生産システムの構築が不可欠となっている。永続的な農業生産にはまだまだ農薬による防除が欠かせないのが現状の中、最適な薬剤散布タイミングにおける効果的防除により、農薬使用量を減らす取り組みが重要視されている。日々の営農活動において、最適なタイミングで農薬散布することは、薬剤の防除効果を高め、結果として減農薬、農薬コストの削減、収量及び品質の向上に繋がる。

そこで、国内の各研究機関の調査結果をもとに、環境データ(温湿度情報や降水量等)から病害虫の発生を予察可能にするWEBアプリを実装し、カイガラムシ、アザミウマ、黒点病などの主要な病害虫防除の発生を事前に把握し、果樹農家が最適なタイミングで効果的な農薬散布を実施できるよう、県内産地を中心に約100地点にアグリショット社製環境モニタリング装置を設置する。

<推定対象病害虫(暫定)>
かんきつ:黒点病、カイガラムシ類、アザミウマ類
かき:炭疽病、カキ円星落葉病、カイガラムシ類、アザミウマ類
うめ:黒星病、かいよう病、すす斑病、ウメシロカイガラムシ、クビアカツヤカミキリ
もも:モモハモグリガ、ナシマルカイガラムシ、ウメシロカイガラムシ、クワシロカイガラムシ、クビアカツヤカミキリ
ぶどう:チャノキイロアザミウマ、フジコナカイガラムシ、べと病

<アグリショット社の技術の特徴>
同社が開発中の病害虫発生予測システムは、以下の特長を備えている。
・アルゴリズムやディープラーニング等を活用した環境データ解析と病害虫発生リスクの高精度予測
・IoTセンサーネットワークによるリアルタイムモニタリング
・WEBアプリによる営農支援のDX化促進

<期待される効果>
・農薬散布コスト15%削減(当社試算)
・防除労力とコストの大幅削減
・収量・品質の向上による収益性改善
・環境負荷の低減とカーボンニュートラルへの貢献

<今後の展開>
2024年10月より和歌山県内で実証実験を開始し、2025年度中の商用化を目指す。本システムの展開により、以下の経済効果を見込んでいる。
・果樹農業分野における年間100億円規模の市場創出
・環境配慮型農産物の輸出促進による地域経済の活性化
・新規就農者の参入障壁低下によるスマート農業人材の育成

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